2005年04月26日
出光興産、機能性樹脂事業を拡充へ
台湾のPC設備を大幅増設、千葉ではPPSの生産再開
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:出光興産

 出光興産は26日、4月1日に再発足させた機能性樹脂部による同樹脂事業の当面の充実・強化拡を発表した。

 現在同社が手がけている機能性樹脂(エンジニアリングプラスチックス)は、ポリカーボネート(PC)、シンジオタクティックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンサルファイドの3種。

 これらのうちのPCについては、台湾・FCFCとの折半出資会社「台北出光石油化学」が稼動中の2系列合計年産10万トン能力の設備に加えて、同7万5,000トン能力の新鋭設備を増設する。既存の2系列同様にCD-RやDVD向けの光磁気ディスクの製造を主目的に建設するもので、完工は07年春の予定。

 すでにプラント設計を完了、主要機器も発注済みという。光磁気ディスク向けのPCプラントとしてはアジア地域で最大規模となる。完工後3年内のフル稼働を目指していく。中国をはじめとしたアジア地域におけるPCの需要が光磁気ディスク向けを中心に今後も安定した伸びを続けると判断しての大幅増設で、この結果、同社グループのPCの設備能力は千葉工場内の同5万トンブラジルの合弁企業の同1万5,000トンを合わせて同24万トンとなる。

 千葉の設備では、引き続き、液晶ディスプレー向けの導光品種と高反射品種、さらにはOA機器ハウジング・部品向けの環境対応型ノンハロ難燃品種などの高機能・高付加価値グレードの製造に特化していく計画。

 またSPSについては、2000年以降、千葉工場内で休止中の同5,000トンプラントを07年春から再稼動させることにしている。これまでは、技術供与先であり技術研究と市場開発の共同推進者でもあるダウケミカルのドイツの工場からニートレジンを引き取ってコンパウンドにして日本国内の家電・電子機器メーカーや自動車メーカーに販売してきた。
 
 しかしこれらの分野を中心に需要が大きく拡大し、今後さらに成長が期待できるようになってきたため生産を再開することにしたもの。向こう2年の間に既存の設備を若干手直しすることになりそう。

 残るPPSに関しては、得意とするコンパウンド技術を駆使してニッチ領域ながら高機能を要求される分野向けに特化して同社固有の高機能・高付加価値品種によって事業の拡充を図っていく考え。その一つとして、日本科学冶金と共同で開発した高熱伝導グレード等の育成に力を入れていきたいとしている。同品種は、一般のプラスチックの約20倍、従来の熱伝導品種の3.5倍の熱伝導率領域をカバーできる点が電子機器関係の需要家の間で注目されている。

 同社では、こうした高機能品種を中心とした新市場の開拓によって、現在の年約400億円の機能性樹脂事業全体の売上高を2010年には600億円に拡大していく計画。