| 2009年04月02日 |
| 中国の現況と日系企業の経営課題(1) |
| 内需拡大、中西部振興、道路などのインフラに重点 |
| 【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:なし |
中国の4兆元(58兆円、向こう2年間)に及ぶ景気刺激策が昨年11月に発表されて5か月が過ぎたが、その効果が出始めている。世界的な金融危機の中で、大幅に落ち込んだ米国、欧州の景況に対し、中国は輸出こそ減退したものの、生産や消費の回復が見え始めている。 その背景には内需拡大と地域振興、道路などのインフラ建設などがある。中国の社会主義市場経済が世界経済立ち直りに寄与するのは間違いないとする見方も出ている。外貨準備高が世界第2位となった底力は無視できないし、海外天然資源買収の勢いも見逃せない。 この4兆元はまず、中央の財政資金として1,000億元を用意した。農村のインフラ建設に3,700億元、道路・鉄道・空港など重大インフラ建設に1兆8,000億元、イノベーションと構造改革に1,600億元、保障性安居プロジェクトに2,800億元、生態環境の整備に3,500億元、医療・文化教育事業の発展に400億元、災害被災地の復興建設に1兆元などを計上した。 こうした景気刺激策を講じるまえに、金融危機対策として08年の年初からの輸出抑制策を緩和(08年7月に増地税還付率の引き上げ)した。インフレ対策であった銀行融資総量規制も緩和した。これに続いて内需拡大政策、農村支援政策を11月に打ち出した。 米国発の金融危機は、米国向けの輸出に大きな打撃を与えた。軽工業の生産、アセンブリーの中心だった広東省の6万5,00社以上に影響を及ぼした。その結果、四川省を中心に2,000万人の出稼ぎ労働者・農民工が失業したといわれる。また、上海株が07年の最高値より60%以上も下落した。 大量の失業者は社会不安をもたらし、政府はこの不安解消と失業対策に力を入れた。農村支援策ではテレビ、洗濯機などの家電を購入したものには購入額の13%を補助、最近ではこれをバイクなどにも拡大している。さらに政府は今年3月の全人代(国会)で5,000億元規模の減税も行った。中国の09年(1-12月)の予算は歳入7兆6,000億元、歳出6兆6,000億元、財政赤字約1兆元(GDP比3%、国債発行)である。 |