2017年03月13日
「化学遺産市民公開講座」18日、慶応大・日吉
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:日本化学会

日本化学会は、2016年度に認定した5件の化学遺産について、紹介・説明する「第11回化学遺産市民公開講座」を18日13時30分から横浜市港北区の慶應義塾大学日吉キャンパスで開催する。化学会では毎年化学に関する貴重な歴史的資料を化学遺産として認定してきた。今年は8回目で次の5件を認定。

■「日本の油脂化学生みの親―辻本満丸関連資料」
辻本氏らの特許をベースに、いわし油等を原料とする国産初の硬化油製造技術が1914年に開発されて以来、イシナギなどの魚肝油中に大量のビタミンAが含まれていることが発見された。硬化油及び魚肝油は大正から昭和にかけて外貨獲得に大きな貢献をした。

■「日本の酸素工業の発祥と発展を示す資料」
フランスのエア・リキッド社が1907年に大阪鉄工所(現日立造船)内にクロードH型空気化装置で、日本酸素(現大陽日酸)が1911年に東京でリンデH型空気化装置で始めた。この2方式の実生産装置の主要部が残っている。

■「日本における殺虫剤産業の発祥を示す資料」
上山英一郎氏が1885年に除虫菊の種子を米国から持ち込み、和歌山で栽培したのが殺虫剤事業の始まり。1895年には妻ゆきさんの発案で、燃焼約6時間の渦巻き型蚊取り線香が誕生した。1952年には除虫菊エキスを噴霧するエアゾール殺虫剤を開発。企業ベースで製品化された初のエアゾールとなった。

■「近代化粧品工業の発祥を示す資料」
化粧品会社の歴史の動きは激しく、資料の多くが散逸しているが、日本で最初の石けん製造を行った堤石鹸関係資料(日誌で1873年、商標、木型など)と、花王(1890年)、ライオン(1894年)、資生堂各社の貴重な資料が残されている。

■「天然ガスかん水を原料とするヨウ素製造設備および製品木製容器」
相生工業(現合同資源)の創業者三増春次郎が、大河内正敏博士の助言を受けて房総半島で得られる天然ガスかん水からのヨウ素生産を考えたのが1889年代。製造技術の開発を三増から依頼され京都帝大の佐々木申二教授は炭酸水素イオンを活用した銅法の開発に成功し、1934年に相生工業が工業化した。巨大なコンクリート構造物が現存している


公開講座は無料。参加登録不要。
問い合わせ先は、日本化学会企画部(TEL:03-3292-6163)