2017年06月09日
理研、体内時計が温度に影響されない仕組み解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所の黒澤元・数理創造プログラム研究員らの共同研究チームは9日、体内時計が温度に影響されない仕組みについて、新たな仮説「温度-振幅カップリング」を提唱したと発表した。
一般に細胞の増殖などの生体プロセスは、温度が上がると速くなる。それに対して体内時計の周期はほとんど温度に影響されない。なぜかは大きな謎とされてきた。

共同研究チームは、体内時計に関わる遺伝子やタンパク質の1日のリズムの変動を記述する数理モデルを用いて、温度が上昇して反応が速くなっても周期が一定となる条件を探した。体内時計の周期を一定に保つためには、温度上昇とともにリズムの振れ幅を大きくする必要があることを見つけ「温度-振幅カップリング」と名付けた。

実際にラットの培養細胞を用いて、遺伝子活性リズムを異なる温度で計測してみた。その結果、予測していた通り、体内時計に関わる主要な遺伝子は高い温度で振れの大きい活性リズムを刻んでいた。今後、体内時計の設計原理の進化が明らかになると期待される。

同成果は米国のオンライン科学誌「PLOS Computational Biology」(日本時間6月9日付)に掲載された。