2017年06月19日
NIMSと化学大手4社、イノベーション協業で覚書
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:物質・材料研究機構

■将来に向け 化学業界オールジャパン体制

物質・材料研究機構(NIMS)と三菱ケミカル、住友化学、旭化成、三井化学の大手化学4社は19日、化学業界のイノベーション推進のためNIMSを中核としたオープンプラットフォーム(MOP)の運用で覚書調印したと発表した。
AI/ビッグデータ/IoTの進展で企業を取り巻く環境が激変しつつある中、将来的な国際競争力を確保していくためには、革新的な材料の開発など長期的な研究を各社単独ではなく「水平連携」して、オールジャパン体制で取り組む必要があると判断した。各社協働して新たなイノベーションを創出し、わが国が直面するさまざまな地球規模の課題解決に向けて取り組むことで一致した。
同MOP(Materials Open Platform)は、2017年度には高分子材料のさらなる高性能化をめざした高分子材料の構造、物性、変性などに関するデータの収集、とくにマテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用した情報解析手法の適用と評価に協働で取り組む。

■共通テーマと展望「新しいパラダイム」開く

MOPのめざすものとしてNIMS(橋本和仁理事長)は「Sciety5.0(超スマート社会)」実現への貢献を目標に掲げた。そのためには研究開発投資の効率化を図り国際競争力強化を図ることが重要で、これまでの「垂直連携に加え、水平連携」つまりオープン・プラットフォームによるイノベーション創出が不可欠とした。

MOPの共通テーマとして、まず高分子材料の高性能化が「世界規模の課題解決」の糸口と位置づけ、共通課題として次の3項目を挙げた。

(1)より軽く、より強い高分子 : 低燃費自動車や航空機
(2)光、熱、揺れ、音のエネルギーを吸収する高分子 : 快適な衣料、生活空間
(3)ガスやイオンの透過を制御する高分子 : 先進医療、農業・食糧問題、エネルギー・水資源の開発

NIMSでは、これらさまざまな材料をターゲットに参画4社とともに豊かで快適な未来社会に向けた「化学産業の新しいパラダイム」を切り開くとしている。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1497857711.pdf