2017年07月10日
経産省、石化業界再編に「円滑協議」枠組みを
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:経済産業省

経済産業省は10日、「石油化学コンビナート内の事業集約・統合の合意形成」に関する事例集を発表した。今後さらに設備の統廃合が必要になることを前提に課題や方向性を提示した。この中で「撤退する事業者と、残留する事業者」との間での設備の最適配置や費用負担面での調整が難航するケースがあることに言及し、これらの利害調整について「透明性を確保しつつ、迅速かつ円滑に協議ができる枠組み」の検討が期待されるとの新たな方向性を提示した。

これを踏まえて、集約・統合の阻害要因やこれに伴い企業に発生する課題や負担、コストについて把握するためヒアリングを行い整理した。

コンビナートの再編・集約は昭和50年(1975年)代初め頃からの課題だった。当時は第2次オイルショックの影響もありエチレン生産量が連続減産した。業界は経産省(当時通産省)の後押しもありナフサの輸入自由化を実現したが、「過剰設備対策」は進む気配がなかった。通産省が「特定産業構造改善臨時措置法」(産構法)を施行し環境づくりをしたのは昭和58年(1983年)だった。

「(海外メーカーとの)原料コスト差は永久に続く」と説得する通産省。業界も承知はしていたが、実際に設備縮小の話になると利害がからむ。「もう少し競争させてくれ。体力に差がついてからの方がまとまりやすい」、「撤退する者への降り賃や葬式代は誰が決めるのか」、「だが今は拙速を尊ぶべきだ」など本音が顕となり議論百出した。30年以上も前と現代では問題意識も大きく異なるが、撤退となると合意形成の難しさは変わらないようだ。「協議」がどう進むか注目したい。(M・K)


石油化学コンビナート内における事業集約・合意形成 事例集(概要)
http://www.meti.go.jp/press/2017/07/20170710004/20170710004-1.pdf

石油化学コンビナート内における事業集約・合意形成 事例集(本文)
http://www.meti.go.jp/press/2017/07/20170710004/20170710004-2.pdf