2017年07月21日
東大、バッチ式からフロー法へ新合成触媒開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東京大学

東京大学大学院の小林修教授(理学系研究科化学専攻)の研究グループは21日、アルミナとフッ化セシウムを使って合成した固相触媒を用いることにより、アミノ酸の一種であるβ置換型グルタミン酸誘導体を高収率かつ高立体選択的に合成することに成功したと発表した。ファインケミカル製品などの新しい製造法として、これまでのバッチ法に替りフロー法が注目されているが、小林教授らの研究グループは今回、フロー精密合成用の新触媒を開発した。

新触媒は、アルミナとフッ化セシウムから簡便に調整することができ、同触媒を用いてアミノ酸の一種、β置換型グルタミン酸誘導体を高収率・高立体選択的に合成することに成功した。触媒の構造も、これまで不明だった反応活性点の構造を明らかにすることができた。β置換型グルタミン酸誘導体は生理活性物質や医薬品原料として価値の高い化合物なので、これらの成果は高効率的な有用物質供給に新たな手法を提供できると期待される。
同研究は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業の一環として行われた。

同研究成果はドイツの化学雑誌「Angewadte Chemie」と「Angewadte Chemie International Edition」7月20日付オンライン速報版に公開される。