2017年08月30日
信州大など、ナノカーボンで高性能水分離膜 開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は29日、信州大学の遠藤守信特別特任教授を中心とする日立製作所、東レ、昭和電工などの研究グループが、酸化グラフェン/グラフェンハイブリッド積層膜によるカーボンのみで構成される新規な無機材料系の水分離膜を開発し、高度な塩化ナトリウムおよび色素の除去特性を見出したと発表した。
この水分離膜はナノカーボン材料特有の高い強靭性(耐薬品性、耐熱性など)を有する。
新開発した膜は、独自法で調整した混合水をスプレーし、自己組織化させることで形成できる。
同プロセスは大面積膜を低コストで簡便い製膜できるなど、実用化に向けた大きなアドバンテージを有する。
JST「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の成果。

近年、急速な人口増加と温暖化などの気候変動により、世界的な水資源不足が深刻化している。今回開発された、スプレー法で開発された酸化グラフェン/グラフェンハイブリッド積層膜は、海水淡水化に加えて、現行の高分子膜では実現困難な強靭性が必要となる資源開発などの厳しい条件下の随伴水処理、さらに薬品、化学、食品加工工程での応用などにも寄与できると期待される。
今後、透過物質の選択制、脱塩率および透水性の更なる向上を図り、脱塩モジュールの完成、プラント最適化を達成し「地球上の誰もがきれいな水を手に入れられる社会」実現に貢献をめざす。


同研究成果は、Nature Nanotechnology(Impact Factor:38.9)に掲載された。