2017年09月12日
クラレ「エバール」好調、米国で設備増強
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:クラレ

クラレは12日、高いガスバリア性や耐油性、透明性などが特長のエチレン・酢ビ共重合樹脂(EVOH)「エバール」の需要が内外で堅調なため、グローバル体制を強化すると発表した。現在日本(岡山県)に1万トン/年、ベルギー(アントワープ)に3万5000トン、米国(ヒューストン)に4万7000トン、計9万2000トン/年の生産能力を持っているが、2018年中にヒューストンの工場を1万1000トン増強し、合計能力を10万3000トンに拡大する。

さらにアジア地域にも工場進出する方針。伊藤正明社長は会見で「消費立地でやりたいが、具体的なことは何も決っていない。これからだ」と慎重だったが、記者側から「原料はどうするのか」との質問が出ると「原料は自前でなくてもいい。(その時は)スワップでもいいのではないか」と検討は進んでいるようだった。今後の懸念材料としては世界的な自動車燃料のEV化による燃料タンクの需要先細りがありそうだが、伊藤社長は「対策は考えているが、直ぐに全部切り替わるわけではない。中長期の問題だと思っている」と落ち着いていた。

同社の「エバール」事業開始は1972年と古い。世界のEVOH市場に占めるシェアも65%と圧倒的だが、今後もグローバル展開に注力し、トップメーカーの地位を固めていく方針だ。