2017年11月22日
基礎生物研など「長期記憶形成の分子メカニズム」特定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

基礎生物学研究所の中山啓助教らの研究グループは21日、新潟大学、東京薬科大学、理研などと共同で、長期記憶を形成すためにはタンパク質の設計図である「伝令RNA」を神経細胞から長く伸びた樹状突起へ局在化させる因子である「RNG105」が必須であることを明らかにした。

ものごとを覚えるには脳内のタンパク質合成が不可欠であることは知られているが、そのタンパク質合成の分子メカニズムはこの四半世紀、未解決のままだった。

神経細胞におけるタンパク質合成には、細胞全体で起こる一般的な制御と、神経細胞間の伝達を仲介する樹状突起上のシナブスの近くのみで起こる局所的な制御とがある。中山助教らのグループは後者の局所的制御に関わる因子「RNG105」に着目し、マウスを用いてRNG105の欠損が長期記憶や伝令RNAに及ぼす影響について解析を行った。
その結果、RNG105欠損マウスでは特定の伝令RNAの樹状突起への局在化が低下し、長期記憶が著しく劣ることが明らにとなった。

同研究成果は11月21日付の英国オンライン科学誌「eLife」に掲載された。