2018年01月19日
理研、鉛吸着材に使えるコケの新たな生物機能発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所 環境資源科学研究センターの井藤賀操上級研究員、榊原均ディレクターらの研究グループは、鉛吸着材に使えるコケ植物の新たな生物機能を発見した。鉛などの重金属類による汚染水は深刻な環境問題。汚染水から重金属類を除去するために、さまざまな手法や材料が開発されてきたが、これらは限りある化石資源に由来する。植物機能を用いた持続可能なシステムの開発が期待されていた。

今回、共同研究グループは野外で採取したヒョウタンゴケ原糸体の無菌液体培養系を確立した。この原糸体は直鎖上の細胞列から成り立っている。この細胞壁部分に大部分の鉛が捕捉されていることを、エネルギー分散型X線分析法(TEM-EDX)によって明らかにした。

ヒョウタンゴケの原糸体は鉛吸着材として、酸性から塩基性まで幅広いPHで、鉛だけでなく金、白金族の元素も吸着し、いったん吸着すると海水などに浸しても脱着しない優れた特性を持っていることも分かった。このことはコケ植物による金属回収や環境浄化の可能性を示すもので、今後の応用が期待できる。

同研究の成果は、米国のオンライン科学雑誌「PLOS ONE」(17年12月20付)に掲載された。