2018年01月31日
理研、第0脳神経の機能に新たな視点 発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は31日、脳科学総合研究センターの吉原良浩リーダーらの研究チームが、ゼブラフィッシュ(インド原産の小型熱帯魚)を用いて、これまで生理機能がよく分かっていなかった第0脳神経(終神経)が、脊椎動物における二酸化炭素(CO2)からの忌避行動をつかさどることを発見したと発表した。

命を脅かす可能性のある感覚刺激(脅威刺激)からの忌避行動は、全ての動物の生存に必須で、なかでも小型熱帯魚ゼブラフィッシュの稚魚は、体の透明性、小型の脳、明確で典型的な行動など、忌避行動をつかさどる神経回路が解析しやすいこともあり多くの実験に用いられてきた。これまでの研究で、触覚・聴覚・視覚の脅威刺激にさらされたゼブラフィッシュの稚魚は、素早い逃避行動を示すことが報告されてきた。しかし、化学物質の刺激に対する行動はほとんど分かっていなかった。

今回、研究チームは、さまざまな化学物質のうちCO2刺激がゼブラフィッシュの稚魚に対し、明確な忌避反応を引き起こすことを見いだした。そして、脳内のどの神経系がCO2刺激に対して応答するのか、カルシウムイメージング法(蛍光タンパク質を使った実験)で調べたところ、「嗅覚系」などに加えて第0脳神経として知られる「終神経」が強く活性化されることが分かった。

今後、さらにCO2刺激の情報処理メカニズムを解析することで、ヒトを含む脊椎動物が持つ終神経を介した忌避行動の神経基盤の理解につながると期待できる。

同研究成果は、米国の科学雑誌「Cell Reports」掲載に先立ち、オンライン版(1月30日付:日本時間31日)で公開される。