2018年02月01日
産総研、触媒反応の収率を人工知能(AI)で予測
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所

産業技術総合研究所は31日、触媒反応の収率を人工知能(AI)で予測する技術を開発したと発表した。触媒化学融合研究センターの佐藤一彦センター長らのチームが開発した。

近年、製品ライフサイクルの短縮化に伴い、従来よりも短期間で医薬品や電子材料などの機能性化学品の開発・製造を可能にする触媒の発見・開発が求められている。従来の触媒開発では触媒の設計・合成や触媒活性の評価・検証を繰り返し行う必要があるため、開発期間が長く、多大な労力やコストが掛かるなどの課題があった。

今回、この課題を解決するために、産総研が提唱するキャタリストインフォマティクスという概念に基づき、触媒構造データのみから触媒反応の収率を簡単に予測できるAIを構築した。具体的には、過酸化水素によるオレフィンのエポキシ化反応について、触媒構造から計算機シミュレーションで得た複数のパラメーターと、実際に触媒反応によって得られる実験収率を用いてAIを構築した。このAIを用いることで、使用する触媒構造データのみからエポキシ化反応の収率が予測できることをはじめて示した。

パラメーターを自動的・客観的に選抜し、触媒活性のカギとなる化学構造を特定した。今後、触媒開発期間を大幅に短縮させる触媒の自動発見を目指したAI技術に先鞭をつけるものになると期待される。

同研究はNEDOの委託事業「超先端材料超高速開発基基盤プロジェクト」の支援を受けた。
成果の詳細は、日本化学会の「Chemistry Letters」(1月31日発行)に掲載された。