2018年02月08日
東大・三菱ケミなど、自動車用高活性NOx浄化触媒 開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:産業技術総合研究所、三菱ケミカル

産業技術総合研究所は7日、ファインセラミックスセンター(JFCC)、東京大学、栃木県産業技術センター、三菱ケミカル、アシザワ・ファインテックス社と共同で、新たに開発したゼオライトの超高速合成法、粉体の微粒子化法などを組み合わせ、低温から高温までの幅広い温度帯で高い触媒活性と耐久性を示す自動車用NOx浄化触媒を開発したと発表した。NEDOpプロジェクトの成果。

同触媒は、低温での活性向上に加え、高温での耐久試験後もほとんど劣化せず、高い活性を維持する。このため従来使用できなかった温度帯での使用が可能となり、自動車燃費の飛躍的向上が期待される。

自動車の排ガス触媒としては、三元(さんげん)触媒が知られるが、より効率的な運転が可能な「希薄燃焼条件」で発生した排ガスだと、酸素濃度が高くなるといった課題があった。

東大、三菱ケミカルなどは、16年からNEDOプロジェクト(エネルギー・環境技術先導プログラム/超精密原糸配列制御型排ガス触媒の研究開発)に取り組んできた。ゼオライト触媒の開発を東大と産総研、三菱ケミカルが行い、粉砕・再結晶化法といったポスト処理・高性能化を栃木県産業技術センター、アシザワ・ファインテックが実施した。

これらの成果を組み合わせ、ゼオライトに多くの活性点を導入しながら、欠陥を極限まで抑えることで、低温から高温まで、いずれの温度帯でも高い耐久性と活性を示す自動車用NOx浄化触媒を開発した。低温での活性向上に加え、高温での耐久試験後もほとんど劣化せず、高い活性を維持する。従来難しかった温度帯で使用できる。このため、燃費のよい運転条件が選択でき、飛躍的な燃費の向上が可能となる。

また、従来は数日かかっていたゼオライトの合成が数分から数十分で可能となる技術も開発した。最も短いものでは6秒という超短時間で合成に成功した。高価な有機物や金属を用いない、または使用を低減した合成法の開発にも成功した。今回の研究成果を技術基盤として応用することで、NOx触媒をはじめとする種々のゼオライト系触媒のさらなる高性能化が期待されるとしている。