2018年03月29日
東レ、炭素繊維樹脂で寸法精度・省エネ 両立新技術
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

 東レは28日、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で、寸法精度の向上と省エネの両方を実現可能にした新規成形技術を開発したと発表した。今後、この新技術を使って、生産性向上が求められる航空機用途をはじめ、自動車、一般産業用途向けなどに広くCFRPの市場展開をはかっていく方針だ。

 CFRPはふつう、オートクレーブと呼ばれる高温圧力釜やオーブンを使い、金型上にプリプレグ(シート状中間素材)を配置した後、温風によって加熱、成形する。温風による加熱は雰囲気加熱のため熱伝達が悪く、成形に時間がかかる。また部位によって厚さが異なる大型・複雑形状部材では温度制御が難しいという問題があった。
 
 今回開発した技術は、所定数の面上ヒーターを金型表面に配置し、真空圧下で加熱することで、加熱の効率化と省エネを実現する方法。同社はこの加熱システムを有効に制御するため、愛媛大学と東京理科大学との共同研究により、部材の成形時間と寸法不良を最小化できる、加熱条件設計プログラムを合わせて開発した。現在、試作成形装置を導入し、実証試験を実施中だ。
 
 同研究成果は、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)によって得られた。