2018年04月04日
東工大、ウイルス集合「熱伝導フィルム」開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東京工業大学

科学技術振興機構(JST)は、東京工業大学物質理工学院の芹澤武教授らの研究グループが、無毒でひも状の構造をもつウイルスを集合化させて構築したフィルムが熱伝導材として機能することを発見したと発表した。

有機系高分子材料は一般に熱伝導性が低く、電気・電子機器の速やかな放熱には従来不適だった。その熱伝導性を向上させるには、向きを揃えて分子を並べる「配向処理」や、無機材料との複合化などが必要だった。

研究グループは今回、核酸の周囲にたんぱく質が規則的に集合化した高分子集合体である繊維状ウイルスでフィルムを作製し、優れた熱伝導材となることを解明した。このウイルスフィルムは、繊維状ウイルスの水溶液を室温で乾燥するだけで調整できる。同成果は今後、特別な操作をせず温和な条件下で簡便に熱伝導材を構築する手法の確立と、それに基づく新しい熱輸送の機構の解明につながると期待できる。

同研究成果は、JST戦略的創造研究推進事業さきがけ「熱輸送のスペクトル学的理解と機能的制御」の一環としてて行われた。

同研究成果は4月3日(英国時間)に国際科学雑誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。