2018年04月13日
奈良女子大など「奇妙な原子」大量生成に成功
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所・仁科加速器科学研究センターの西隆博特別研究員、奈良女子大学理学部数物科学科の比連崎悟教授らの国際共同研究グループは13日、理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」を用いて、「パイ中間子原子」という“奇妙な”原子を、従来の数十倍の時間効率で大量生成することに成功したと発表した。

パイ中間子原子とは、電子の代わりに「パイ中間子」という電子の300倍の質量を持つ粒子を原子核に束縛させた原子のこと。粒子の周回軌道の半径はその質量に反比例するため、パイ中間子は原子核表面をこするような軌道をとる。これを詳しく調べることで、原子核内部の情報を得ることができる。原子核内部は、水の約100兆倍という超高密度の世界だが、パイ中間子原子を精密に調べることは、約138億年前に起こった大爆発(ビッグバン)による宇宙創生直後の超高温・高密度の世界から「真空」がどのように変化してきたかを解き明かす鍵になるという。

同研究の成果は、米国の科学雑誌「Physical Review Letters」の掲載に先立ち、オンライン版(4月12日付:日本時間13日)に掲載される予定。