2018年05月09日
富士フィルム、抗固形がん剤 米国で第1臨床開始
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは9日、米国で進行性の固形がんを対象とする抗がん剤「FF-10832」の臨床第1相試験を開始したと発表した。同剤は、同社のナノ分散技術や解析技術などを活かして開発した。既存の水溶性薬剤である抗がん剤「ゲムシタビン」をリポソームに内包したリポソーム製剤である。

リポソームとは、細胞膜や生体膜の構成成分である有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子のことで、体内で必要な量の薬剤を必要な部位に必要なタイミングで送達するドラッグ・デリバリー・システム(DDS)技術の一種。

「FF-10832」は、血中での薬剤の消失半減期が非常に短い「ゲムシタビン」を、約80nmの均一なサイズのリポソームに内包することで、血中での薬剤の安定性向上や長時間滞留するEPR効果を発揮する。今回の米国臨床第I相試験では同剤の安全性と忍容性、薬物の体内動態、初期の有効性などを確認する。

同社はリポソーム製剤については、グローバル提供に向けて子会社の富山化学工業で生産することを決めており、2020年2月の稼働開始に向けて準備を進めている。


ニュースリリース
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file3_1525842092.pdf