2018年05月22日
東大など「生物形質改良を加速」新ゲノム技術発明
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:トヨタ自動車、東京大学

東京大学と理化学研究所は22日、トヨタ自動車、豊田中央研究所と共同で、生物のゲノムDNAを大規模に再編成して、形質の改良を著しく効率化する新技術の開発に成功したと発表した。

優れた形質をもつ農作物の育種や、有用な発酵性微生物の改良には、性質の異なる多数の遺伝子を同時に改良することが必要となる。従来技術では多数の遺伝子を同時に変化させるのに長い年月を要したり、生物に致死的な影響が出ない範囲で実験を行うなど、改良効率も限られていた。

今回、DNA切断活性を温度で調節できる酵素を生細胞内に導入し、一時的に細胞を加温して活性化させることで、細胞のDNAをランダムに切断/再結合(シャフリング)させ、多数・複雑な形質の遺伝子を効率的に改良する新しい技術を開発した。

この方法を用いて、熱帯環境下のような高温下で効率的にバイオエタノールを合成する酵母や、新しい形質をもつ植物などを効率的に生み出すことに成功した。ゲノム進化のプロセスを実験的に検証するためにも、この技術が有効であることが示された。

同研究成果は、科学雑誌「Nature Communications」オンライン版に2018年5月18日掲載された。