2018年05月25日
九大開発の「新冷媒 状態方程式」世界標準に登録
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:NEDO

EDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は25日、NEDOプロジェクトで九州大学が開発した新たな低GWP冷媒の状態方程式が、世界標準の熱物性データベースであるアメリカ国立標準技術研究所(NIST)のREFPROPに登録されたと発表した。これにより新たな低GWP(GWP:地球温暖化係数)冷媒を用いた冷凍空調機器の性能評価や最適設計が可能となり、新冷媒の実用化が進むことが期待される。

現在、冷凍空調機器用冷媒として使用されているHFCなどの代替フロンは、温室効果が高く、地球温暖化を促進すると指摘されている。この効果ガス排出量削減を強化するため、パリ協定など国際的な規制が進み、現在使用しているHFC冷媒が使用できなくなる可能性がある。

そこでNEDOは、業務用や家庭用のエアコンを対象に、冷媒や機器の開発を行うとともに、新たな低GWP冷媒の性能や安全性評価に取り組み、環境負荷の低い空調機器の開発を進めてきた。新たな冷媒を用いた冷凍空調機器の性能評価や最適設計を行うためには、その冷媒の熱力学的性質を表現した数学モデル(状態方程式)が必要だった。

今回、九州大学が開発した新たな低GWP冷媒(HFO-1123、HCFO-1224yd(Z))の状態方程式が、世界標準であるアメリカ国立標準技術研究所(NIST)のREFPROP(第10版)に登録された。
これにより今後は、HFO-1123およびHCFO-1224yd(Z)の熱物性値だけでなく、既存冷媒とこれらの冷媒との混合冷媒の熱物性値も簡便に計算できるようになった。新たな低GWP冷媒を用いた冷凍空調機器の性能評価や最適設計が可能となったことで、新冷媒の実用化に大きく貢献すると期待される。