2018年06月18日
産総研と日本触媒 有害物質分解微生物 多数発見
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:日本触媒

産業技術総合研究所は15日、環境微生物研究グループの堀 知行主任研究員らが日本触媒と共同で、石油化学工業廃水中の有害物質1,4-ジオキサンを分解する微生物を多数発見したと発表した。それらの微生物が協働的に働いて安定的に分解を維持していることも明らかになった。産総研の高感度同位体追跡法を用いて発見した。

1,4-ジオキサンは、発がん性が疑われる有害物質で、日本を含め世界各国で規制強化が進んでいる。処理方法としては低コスト・低環境負荷型の生物処理方法が有力だが、これまで1,4-ジオキサンの分解菌は、時間と労力のかかる分離培養法でしか調べることができず、数種の分解菌しか知られていなかった。

今回、産総研と日本触媒は産総研が確立した分離培養に頼らない高感度同位体追跡法を用いて、石油化学工業廃水の生物処理槽から多種多様な1,4-ジオキサン分解菌を発見したそれらの分解菌が協働して1,4-ジオキサンを安定的に除去することを見出した。

今後、自然環境中の未知微生物の機能解明や微生物による廃水処理の新手法開発につながる成果として期待される。

この成果は6月13日、Nature Publishing Groupの微生物学術誌「The ISME Journal」にオンライン掲載された。