2018年06月29日
東レ、血液浄化用の「繊維吸着体」開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東レ

東レはこのほど、合成繊維の紡糸技術を応用して、海島複合繊維(注:1)の表面形態や化学構造を制御し、細胞やタンパク質等のバイオターゲット(注:2)の選択的除去を可能にした、新規の血液浄化用繊維吸着体を創出したと発表した。2019年度中の臨床試験開始をめざす。

開発した繊維吸着体は、健康維持に必要な細胞やタンパク質は除去せず、炎症に関与する細胞やタンパク質(サイトカイン)だけ選択的に除去することができる。独自の紡糸技術「NANODESIGN」を用いて開発した。構造変化の影響を受けやすい反応性の高いポリマーと、繊維の強度を維持する安定ポリマーとの配置をナノスケールで制御し、機能付与と強度を両立させた。
今後、国内外の大学と連携して動物実験等による検証を進め、早期製品化をめざす。


<用語の解説>
■海島複合繊維 : 2種類以上のポリマー原料から1本の繊維を紡糸する際、繊維の断面が“海の中に島が浮いている”ように見える構造をした繊維のこと。
■バイオターゲット : 体外循環による血液浄化材料(透析や吸着式血液浄化カラム)等の生体に用いる吸着材が除去する除去対象物質のこと。細胞やタンパク質あるいは脂質、糖などの生体由来物質が挙げられる。