2018年07月03日
京大、日本列島で利用可能な植物の巨大ネットワーク解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

京都大学は2日、東樹宏和生態学研究センター准教授らの研究グループが、北海道から沖縄まで全国で採集された植物150種とその地下共生菌で構成される大規模「共生ネットワーク」の構造を解明し、農業上の利用価値が高いと期待される菌のリストを作成したと発表した。

無数の微生物が含まれるデータを俯瞰して応用可能性の高いものを一挙に絞り込む同研究は、持続可能型農業における微生物の利用を加速させると期待される。世界人口増加し、持続可能な食糧の増産が地球規模で求められる中で、植物に共生する多様な微生物機能を有効活用する研究は世界的にも注目されている。

東樹氏らの研究グループは、北海道から沖縄で採集された植物150種の根からDNAを抽出し、DNAバーコーディング技術を用いて、植物と地下で共生する8,080系統の真菌(きのこ・かび類)を検出した。そして、これらの植物と真菌で構成される大規模「共生ネットワーク」の構造を解明し、「中心性」と呼ばれる指標で真菌を評価した。そのうえで、農業上の利用価値が高いと期待される菌のリストを作成した。その真菌の中に、農業上の利用価値が高い植物が眠っている可能性を示唆するものも見つかった。

 同研究の成果は、6月23日に英国の国際学術誌「Microbiome」にオンライン掲載された。