2018年07月04日
東北大学「光合成とプランクトンの関係」解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

東北大学の占部城太郎教授(生命科学研究科)らの研究グループは4日、光が弱まると水草が減少し植物プランクトンが増加して、水質や生態系に大きな影響を及ぼすことを発見したと発表した。野外の実験池における遮光実験と、数理モデルを組み合わせ実態をつかんだ。

水中の植物は太陽光による光合成を通して生態系を維持する。だが、これまでの湖沼研究は富栄養化に注目が集まり、光量が湖の生態系に与える影響はあまり調べられてこなかった。植物の成長は光に依存しており、光量が減ると植物プランクトン量も減ると予想されていた。だが予想に反し、光量減少はむしろ植物プランクトンを増やし、水質を悪化させることが分かった。浅い湖沼で光が減ると、競争者である水草が減少して栄養が使われなくなり、植物プランクトンの成長が増加するためだ。

今回の研究成果は、光の変化に対して生態系がどのように反応するか、という生態学の大きな問題を解く手がかりを発見したものであり、太陽光を遮って有害な藻類を減少させたり、水上太陽光発電を行うような場合には生物間の相互作用への影響を十分に考慮しなければならないことを示している。国内外の環境政策に影響する学術的知見として利用されることが期待される。