2018年07月20日
理研「クローン胚の新たなエピゲノム異常」発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所バイオリソース研究センター遺伝工学基盤技術室の小倉淳郎室長らの共同研究チームは20日、マウスクローン胚の包括的な解析によって新たなエピゲノム異常を発見したと発表した。

同研究成果は、有用な形質を持ったクローン動物の出生効率の改善や再生医療に向けた、ヒト体細胞核移植胚由来ES細胞の樹立効率改善に貢献すると期待できる。

クローン動物の生まれる率は1%程度と非常に低く、ほとんどが胚発生の途中で死んでしまうことが問題となっていた。今回、国際共同研究チームは、クローン胚で見られる発生異常の原因を探索することを目的として、マウスクローン胚について包括的なトランスクリプトーム・エピゲノム解析を行った。その結果、新たなエピゲノム異常として、ヒストン修飾依存的なインプリント遺伝子群が全てインプリント情報を失っていることを発見した。

これらのインプリント遺伝子の多くが胎盤の形成や着床後の胚発生に関わる因子であることから、クローン胚の発生異常の原因の一つと考えられる。


同研究は、米国の科学雑誌「Cell Stem Cell」(9月6日号)掲載に先立ち、オンライン版(7月19日付)に掲載された。