2018年08月03日
理研、動物間のコミュニケーションの新戦略発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所脳神経科学研究センターの風間北斗チームリーダーらの研究チームは3日、発光バイオセンサーを利用して、動物の神経活動と行動の同時計測システムを開発し、動物間コミュニケーションの新戦略を発見したと発表した。

同研究は、より自然に近い環境下で自由行動する動物の神経活動をリアルタイムで観察可能にしたもので、今後、謎に包まれた動物のコミュニケーション戦略のさらなる発見とその神経基盤の解明に貢献すると期待できる。

多くの動物は、同種とコミュニケーションをとるために、社会的および性的行動を調節するフェロモンなどを放出している。なかでも、キイロショウジョウバエ(ハエ)は、オスのフェロモン「cVA」によりさまざまな行動が調節されているが、cVAがいつどこで放出され、どのように受容されているかはほとんど分かっていなかった。

研究チームは、cVAに特異的に応答する神経細胞に発光バイオセンサーを発現させ、自由に行動するハエからリアルタイムで神経活動を計測するシステムを開発した。その結果、cVAはオスのマーキング行動を通して、腹部先端から放出される分泌物に多く含まれることが分かった。さらにこの分泌物は、オスとメス双方を惹きつけ、求愛行動の場を作り出すことを見いだした。cVAは長年研究されてきたが、それが消化管由来の分泌物に含まれ、マーキング行動により特定のタイミングで積極的に放出され、社会的コミュニケーションに利用されていることが初めて明らかになった。

本研究は、米国の科学雑誌「Current Biology」オンライン版(8月2日付:日本時間8月3日)に掲載される。