2018年09月19日
富山大学、バイオジェット燃料用合成触媒 開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:科学技術振興機構

科学技術振興機構(JST)は18日、富山大学大学院の椿範立教授(理工学研究部)らが、Fischer-Tropsch(FT合成法)を用いて、航空機ジェット燃料の合成に成功したと発表した。JST未来社会創造事業研究に一環。

FT合成は、合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)を用いて、軽油あるいは軽質オレフィンを合成する触媒反応技術のこと。合成ガスは、天然ガス、バイオマス、石炭、可燃性ゴミ、重質油などの広範な原料を熱分解して得られるため、工業的に極めて重要な製造法となる。

椿教授らは、新たに触媒設計を見直し、酸点と細孔構造を精密制御したゼオライト上に、希土類元素であるランタンと金属コバルトを担持した新しい酸性ゼオライト担持触媒を開発した。この触媒を用いると、FT合成におけるイソ体炭化水素の選択率が格段に向上し、ジェット燃料の選択率が72%と非常に高い触媒性能が得られる。二酸化炭素と水素を用いても高い反応成績が認められた。

現在のバイオジェット燃料の合成プロセスは、製造ステップが多く、複雑でコストが高いなどが課題だったが、今回の研究成果を応用すればプロセスが簡素化できる。航空業界のCO2削減にも貢献できる。


【用語の解説】
■、Fischer-Tropsch合成戸は:合成ガス(一酸化炭素と水素の混合ガス)から合成軽油など石油代替燃料およびアルコール、オレフィンなど基礎化学品を合成する触媒反応。合成ガスは天然ガス(シェールガス、メタンハイドレートを含む)、バイオマス、石炭、可燃性ゴミ、重質油などから簡単に製造できる。各石油会社は主に天然ガスや石炭から合成軽油を製造している。石油価格が高騰すればFT合成の経済性はさらに高くなる。