2018年09月28日
富士フィルム、ヒトiPS由来 腸管上皮細胞を開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは27日、名古屋市立大学大学院の松永民秀教授(薬学)との共同研究で、薬物の吸収性評価に最適なヒトiPS細胞由来腸管上皮細胞の開発に成功したと発表した。この細胞は、薬物の代謝に関わる酵素の活性や薬物の取り込み・排出の能力が高く、薬物の吸収に重要な小腸の腸管上皮細胞に近い性質を備えていることも確認した。

今回、本細胞にて腸管上皮細胞の代表的な薬物代謝酵素であるCYP3A4の活性と、薬物の細胞内への取り込み・細胞外への排出を司るトランスポーターに関する遺伝子発現量を調べ、以下の成果を得た。

(1)CYP3A4の活性を評価した結果、Caco-2細胞に対して約10倍、ヒト生体由来腸管上皮細胞と同等の活性を示した。
(2)薬物の腸管上皮細胞内への取り込みと細胞外への排出を司るトランスポーター遺伝子の発現量を比較した結果、取り込みを司るトランスポーター(PEPT1)は、Caco-2細胞よりも多く、ヒト生体由来腸管細胞とほぼ同等であることを確認。また排出を司るトランスポーター(P-gp)は、Caco-2細胞とほぼ同等であった。

同研究成果は、ヒトiPS細胞を用いた創薬支援分野における画期的な研究成果で、経口剤の開発の効率化に大きく寄与することが期待できる。


ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file3_1538097017.pdf