2018年10月04日
富士フ、世界初・医薬品候補化合物を自動探索、設計
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:富士フイルム

富士フイルムは4日、AI技術を用いて世界で初めて、医薬品候補化合物の構造式から新たな候補化合物を自動的に探索し、設計できる化合物探索・設計シミュレーション技術(AI-AAM)を開発したと発表した。
「AI-AAM」は、薬効が期待できる既存の医薬品候補化合物と疾患の原因となるタンパク質(標的タンパク質)との結合力を、タンパク質の構成要素であるアミノ酸との相互作用の解析から簡便に予測し、さらにこの化合物と同等の結合力で異なる骨格を持つ別の化合物を自動的に探索・設計できるシミュレーション技術。

化合物ライブラリーの探索だけでなく、従来発想できなかった新規の化合物の設計も可能となる。従来のような標的タンパク質の構造の解析などは必要とせず、候補化合物の構造式だけで新規候補化合物を探索・設計することができる。
同社はすでに、ある1つの抗がん剤候補化合物の構造式に「AI-AAM」を適用して、1週間で33個の新規の医薬品候補化合物の設計に成功した。標的タンパク質の立体構造を必要とする手法と比較して、1/1,000以下の計算量となることも確認した。新薬開発の期間短縮と成功確率向上に大きく貢献できるとしている。

【主な特徴】
(1)タンパク質の構成要素であるアミノ酸(20種類)と化合物の結合力を数値化することでタンパク質と化合物の結合力を予測できる独自の「アミノ酸マッピング(Amino-Acid Mapping, AAM)記述子」と、安定した構造を持つ化合物を新規設計する独自AI技術を組み合わせた。
(2)薬効が期待できる既存の医薬品候補化合物と同等の「AAM記述子」を持つ化合物を探索することで、既存の医薬品候補化合物と、標的タンパク質の結合力が同等で骨格が異なる化合物を効率的に見つけ出すことができる。結果から原因を推定する逆問題解法を採用しているため、従来発想できなかった骨格の化合物を新規に設計することが可能となる。
(3)従来のような実験データからAIを用いて化合物を見つけ出す手法では、疾患ごとに異なる、標的タンパク質の立体構造の解析などが必要となるが、「AI-AAM」にはこれらが不要で、既存の医薬品候補化合物の構造式に同法適用するだけで新たな化合物を探索・設計できる。


ニュースリリース
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1538620559.pdf