2018年11月15日
淡輪・三井化学社長「20年営業益1250億円目標」
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三井化学
淡輪敏社長

三井化学の淡輪敏社長は15日記者会見し、18年度の経営概況を説明した。
この中で今年度の通期業績予想について「各セグメントとも安定した業績をあげており、大阪工場での火災事故の影響を乗り越えて、3年連続の最高益が達成できそうだ」と、ほっとした表情を見せた。引き続きモビリティ・ヘルスケア・F&P(フード&パッケージング)の成長3領域事業の拡大と、バイオ・メディカルなどの次世代事業の育成、基盤素材事業のさらなる競争力強化に注力していく方針だ。

18年度通期予想は、売上高1兆5400億円(前期比15.9%増)、営業利益1060億円(2.4%増)、経常利益1170億円(6.2%増)、純利益800億円(11.8%)の見込み。大阪工場の事故では35億円の費用負担が生じたが、はね返すことができた。「これまで抜本的な構造改革に取り組み、市況変動の影響を受けにくい体質づくりを目指してきたが、少しずつ実りつつある」と、改革への取り組みをポイントにあげた。

今後は次の成長に向けて設備投資も積極的に行う方針だ。新たに3年間に3600億円を投入し、18年度1060億円の営業利益を20年度には1250億円に拡大させる。

「モビリティ」領域では市原工場(千葉県)の潤滑油添加剤「ルーカント」年産2万トンの増設プラントを新設する。自社技術開発した世界初商品で、ルーブリゾールとの提携によりグローバル展開を加速する。オレフィン系エラストマー「タフマー」もシンガポールでデボトル増強する。自動車のバンパーや内装材に使われており車体の軽量化ニーズに応え需要を伸ばしていく方針だ。

「ヘルスケア」領域では、めがねフレームの「次世代アイウエア」を本格展開する。製品種類も4シリーズ・61種類と増えた。全国店舗数を現在の20店舗から来年は100店舗に拡大する。アジア・欧米にも広げていく考えだ。高機能不織布やバイオ法AAMの拡大にも注力する。

「F&P」領域では、まず農薬事業を拡大・強化する。殺菌剤、除草剤(登録申請中)、殺虫剤(バイエルとライセンス契約)などの「新規5原体」を拡大し2025年には売上高1000億円を目指す。フィルム・シートは引き続き強化を図る。

淡輪社長は「08年から12年にかけては抜本的な事業再構築の時代だった。その後回復期を経て今は新しいビジネスモデルへの転換とともに成長期にある。このまま次の飛躍期に入りたい」とアピール、2025年の営業利益目標として2000億円を掲げた。