2018年11月28日
理研など「皮膚で触覚が生まれる仕組みの一端」解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:理化学研究所

理化学研究所は28日、新潟医療福祉大学の国際共同研究グループと、マウス毛包の「表皮幹細胞」が触覚受容器の正常な機能に必須であることを突き止め、皮膚で触覚が生まれる仕組みの一端を解明したと発表した。

同研究成果は、表皮幹細胞は皮膚の再生だけでなく、触覚受容に欠かせない感覚神経終末の形と機能を制御するという触覚機構の新しいメカニズムの発見であり、皮膚の触覚機構の再生や老年期の触覚機能の低下を防ぐ方法の開発などに貢献すると期待される。

触覚は、五感のうち最も原始的な感覚で、生物の生存に不可欠。皮膚には感覚神経の終末などからなる「触覚受容器」があり、さまざまな物理刺激を化学シグナルに変換した情報を、感覚神経を通して中枢神経系に伝えることで触覚を生み出す。しかし、皮膚の触覚受容器が作られ、機能する仕組みはよく分かっていなかった。

今回、国際共同研究グループは、毛包と毛の再生を担う表皮幹細胞が、感覚神経終末の周囲に特殊な細胞外マトリックスを形成することで、感覚神経と一体となって触覚受容器の複雑な構造と機能を生み出していることをつかんだ。また、表皮幹細胞が、ダイナミックに再生を繰り返す毛包の中に安定かつ恒常的な組織構造を作り出すことで、毛包と感覚神経が安定に接続されることも明らかにした。

同研究は、英国の科学雑誌「eLife」(10月25日付)に掲載された。