大統合・化学産業の「グローバルリーダー」目指して

 

住友化学工業社長

米倉 弘昌 氏

 H.YONEKURA

 
 三井化学との“大統合”の話し合いはうまく進んでいるのだろうか。何しろ新たにスタートする「三井住友化学」は売上高2兆4,000億円(2003年度)、堂々世界第5位の規模。工場は国内に10工場、従業員は1万4,000人、海外だけで関係会社は94社というから、もはや世界のットップクラスにひけをとらないといってよさそうだ。だが十分な国際競争力をつけるには、いまのうちから入念に話し合い、シナジー効果が最大限発揮できるようにしておかないといけない。
「話し合いは非常にうまくいっている」と米倉社長。「経営理念やビジョンが一致しているから」と、表情も明るい。そして「両社には十分な信頼関係もできていますよ」と、豪快に笑った。

━三井化学との話し合い、順調ですか。
 非常にうまくいっている。いま、事業統合検討委員会の下に12の制度分科会と9つの事業分科会を設けて話し合っているが、どの分科会もそれは熱心だ。制度分科会というのは、財務とか経理、人事、情報システムなど、統合したあとの運営形態や方法を検討するチーム。もう1つの事業分科会というのは、実際に新会社は「石油化学」「基礎化学」「機能樹脂」「機能化学」「情報電子化学」「農業化学」「医薬」の7つの社内カンパニーを置いて運営するので、カンパニーごとにどんな運営をしていくか話し合っている。
 分科会はそれに加えてポリオレフィンとシンガポール石化プロジェクトの2つがある。お互いに多様な製品をもち組織も大きいから、フル回転でどんどん進んでいるところもあれば、部長クラスのところでファクト・ファインディングしながらつめているところもある。
 話し合いは少し前に延べ400回を超えたときいたから、もう500回いったかもしれない。全体的に見れば非常に順調だ。
━うまくいっている理由はどこにあると・・・。
 1つには経営理念の一致にあると思う。住友には古くから「確実を旨とし、浮利を追わず・・」といった社訓があるし、三井も同じように信用とか確実を重んじよ、といわれてきた。これは統合するに当たって大事なことだ。
 もう1つはやはりビジョンだ。お互い一緒になって21世紀のグローバルリーダーを目指そうという思いが両社にある。だからそれにふさわしい、ベストの会社にしようと、みんな張り切っているわけだ。
━でも、両社とも何百年という古い歴史をもっています。体質などに「違い」を感じることもあるにでは。

 いや、それがあまりない。むしろ同じような理論構成をしているな、と驚くことの方が多い。

━シナジー効果として最も期待している点はどこですか。
 それはもう、いたるところにあって非常に大きいと思う。いま、まさにその効果を最大限発揮するためにどうあればいいかというので各分科会で検討しているところだ。
 石油化学や基礎化学でいえば大型化による事業強化、統廃合による合理化、得意技術の融合があるし、機能材料や情報電子、医薬分野でいえば技術融合による事業領域の拡大、研究基礎の強化といったように、あらゆる分野でシナジー効果が出てくる。有機にしても無機化学にしても、これまで住友と三井の間では原料や中間製品の売り買いを相当やってきた。そういうやりとりが不要になり全部自前になるわけだから、そういったことも合理化につながる。
 住友のためとか、三井のためといった立場をとる必要はないわけだし、いい結果が出ると期待している。
━シンガポールの第3期計画については。
 第3期は2005年中にエチレン100万トン規模の工場をスタートさせる。現在シェルと交渉中だが向こうも意欲的なので年内には決まるだろう。原料の問題とか誘導品とか考えていることはいろいろある。原料は従来よりさらに多様化する。誘導品も工夫して、これまでとはひと味違ったコンビナートにしたい。
━海外プロジェクトは三井も力を入れてきました。
 三井もシンガポールをはじめ各地でグローバリゼーションに取り組んでおられる。昔は考え方が少し違って、ライセンス主体でやりたいといっておられたが・・・。
 住友は自分でビジネスを展開し、オペレーターまで自分でやりたい。ライセンスを出して競争相手を増やしたくないという考え方をとってきた。これからはいろいろな展開が海外でもできると楽しみだ。
 私たちは世界のトップクラスの化学会社と技術力、収益力で互角に競争できる会社にしていかないといけない。そしてさっきもいったように、“21世紀のグローバルリーダー”を目指す。両社間にはもう十分な信頼関係もできているので、その目標が達成できるような、理想的な化学会社にしたいと思っている。