デンカ、米工場のクロロプレン毒性評価 見直し進む
デンカは7日、米国子会社のDenka Perormnce Elastomer社(DPE)がアメリカ環境保護庁(EPA)に提出した、クロロプレンモノマーの健康への影響を研究する最先端の生理学的薬物動態(PBPK)モデルにもとづく評価手法について、EPAが7月24日に査読プロセス(専門家による評価)に進む旨を公表したと発表した。

このPBPK モデルが採用されれば、2010年の統合リスク情報システム(IRIS/IUR)で策定された毒性評価に抜本的な変更が加えられる可能性がある。

2015年の国家大気有害物質評価(NATA)の中でEPAは、この毒性評価にもとづき、歴史的に見てルイジアナ州ラプラスに所在するDPE の工場から排出されるクロロプレンモノマーが近隣住民の健康リスクを生じさせていると指摘した。同工場は1969年以来デュポン社が操業してきたもので、2015年11月1日にDPEが取得した。

本PBPK モデルは、EPA の2010 年の毒性評価よりもさらに科学的な手法によって人体への健康リスクが算定されており、その評価結果は有力な科学雑誌「Inhalation Toxicology」にも掲載された。
2010年のIURの毒性評価をもとに、EPAは70年間の平均暴露濃度 0.2μg/.以下を推奨しているが、同論文は2010 年の毒性評価は本来より130 倍過剰に評価されたと指摘している。

DPE は本PBPK モデルを2019 年にEPA に提出し、その後EPA 内部で評価してきた。2010 年のIUR の毒性評価の見直しに向けて、PBPKモデルをさらに検証するため、現在EPAは査読プロセスの第一段階にあたるパブリックコメントを募集している。

▽EPA ホームページ https://cfpub.epa.gov/ncea/iris_drafts/recordisplay.cfm?deid=349015

◆デンカ:関連記事(2020年2月14日) https://www.chem-t.com/cgi-bin/passFile/NCODE/54293

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