九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の前田修孝准教授と理研の山田陽一チームディレクターらの共同研究グループは6日、1種類の触媒を用いて同じ反応基質と反応試薬との反応で4種類の全く異なる有機反応を選択的に実現する「四重スイッチング触媒反応系」の開発に成功したと発表した。
これは、さまざまな条件の検討から思いがけず見つけたセレンディピティ(偶然の発見)的成果であり、有機合成プロセスの多機能化、創薬化学の大幅な効率化に新しい可能性を開くものとなった。
反応の切替えは、添加剤(アミン類:窒素を持つ化合物)や反応温度といったごく小さな条件変更のみで達成された。触媒にはシリコンナノワイヤーアレイ(SiNA)にパラジウム(Pd)を固定化したSiNA-Pdを用い、触媒量はわずか65mol ppmだったが、反応物の高い収率と触媒の再利用性を示し、金属残渣も医薬品基準を満たした。
さらに今回研究では、マイクロ波照射において磁場成分が触媒活性化に不可欠であること、変調励起赤外分光法(ME-IR)と位相敏感検出法により、マイクロ波の磁場成分が触媒のシリコンナノワイヤー構造を動的に活性化していることを確認した。これはマイクロ波化学の原理解明という点でも大きな前進といえる。
本研究は、科学雑誌「ACS Catalysis」オンライン版(2月5日付)に掲載された。
ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1401