2004年02月27日
塩ビ業界が取り組んでいるマテリアル・リサイクル(MR)
(1)現状

▽推進体制
 現在の推進母体は『塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)』。
 このJPECを構成するのは、正会員である「塩ビ工業・環境協会(VEC)」「塩化ビニル管・継手協会」「硬質塩化ビニール板協会」「日本ビニル工業会」「インテリアフロア工業会」「日本カーペット工業組合タイルカーペット部会」の6団体と、賛助会員の「可塑剤工業会」「日本無機薬品協会塩化ビニール安定剤部会」「農ビリサイクル促進協会」の3団体の合計9団体。塩ビに少しでも係わりがある業界団体の全てが参加しているわけで、こうした広がりの豊かさと層の厚さが現在の塩ビ業界のマテリアル・リサイクル(MR)推進体制の持つ大きな特徴と言える。協賛企業数も117社の多くを数える。
 
▽現在にいたるまでの歩み
 1970年4月、VEC(当時の名称は塩化ビニール工業協会)が関連加工団体とともに「塩ビ廃棄物処理対策連絡会」を設立して廃プラスチック問題の現状の把握と対策の検討に着手したのがはじまり。国会で初めて廃プラスチック問題が取り上げられる7ヶ月前であった。プラスチック業界の中では、廃プラスチック問題の解決に対する立ち上がりの最も早い業界の一つとなった。
 そして翌年2月に「プラスチック廃棄物問題の現状と対策」と題するレポートを作成。さらに同年11月に「石油化学工業協会」、「日本プラスチック工業連盟」の両団体とともに「プラスチック処理研究協会(現・プラスチック処理促進協会)」を設立して、プラスチック関連業界全体で廃棄物対策の具体策の検討と有効処理技術の開発などの実行動をスタートさせた。
 
 一方、塩ビ業界独自の施策としては、先ずは使用済み農業用ビニルの処理から着手する方針を固め、主要地域の施設園芸団体と協力して廃農ビの収集-洗浄-破砕-溶融固化の技術開発とその実用化に乗り出した。
 
 最初は、大量に付着している土砂の除去が思うようにできず破砕機の刃こぼれに悩まされるなど苦闘が続いたが、徐々に技術改良が進んで1974年ごろから軌道に乗り、床材、履物、シートなどにスムースに再生できるようになり現在に至っている。

 このように塩ビ業界が先ずは農ビのMRから着手したのは、もともと塩ビの場合、用途の多くが塩ビ管や床材に代表される構造材で占められているため排出量がさほど多くなく、直ちにリサイクルに取り組む必要があるのは農ビなど一部の分野にすぎなかった。
 
 しかし最近は、MRの守備範囲が急速に広がってきている。例えば1998年頃からは、塩ビの最大消費分野である各種建材、壁紙、雨どい、床材といった製品とパイプが新たな対象に取り上げられ、活発に再生利用が進められるようになってきている。これは、多くの建築物が老朽化して建て替えの時期にきたことと少なからず関わりがあると見られる。
 
▽現在のMRの実態
 2002年における塩ビ製品の総排出量はおよそ118万2,000tであり、また、総リサイクル量は44万7,000tと推定されている。有効利用率は37.8%ということになる。うちMR法で処理された数量は28万8,000tと見られている。MR率は24.4%となる。
 
 MR法以外のリサイクル率は、サーマル・リサイクル(TR)が12.4%、フィードストック・リサイクル(FR)が1.0%と想定されている。総リサイクル率、つまり全排出量に対する有効利用率は37.8%という計算になる。
 
 5年前の97年の実績はどうであったか・・・。総排出量は126万9,000t、リサイクル量は38万5,000tであった。有効利用率は30.3%である。うちMRは18.7%で、残り11.7%弱がTR(ただし、当時は熱利用焼却だけ)率は11.7%であり、FRの実績はまだゼロであった。

 02年の実績をこの97年に比較すると、排出量は6.9%縮小し、有効利用量は逆に16.1%拡大している。有効利用率は7.5ポイントも上がっている。有効利用率の拡大には、TR量の増加とFRのスタートが大きく寄与している。絶対量の拡大面で大きく貢献したのはやはりMRの順調な広がりと言える。MR量は5年間で22.4%の伸びを遂げ、MR率も5.7ポイントアップしている。
(表参照: http://www.chem-t.com/link/science/images/recycle-graph.gif)
 
 一方、廃プラスチック全体の02年における排出量は、プラスチック処理促進協会の調査によると990万tであった。MR量は152万t、MR率は15%となっている。この点から見ても、PVCのMR率はかなり高いと言うことができる。
  
 同年のPVCのMRの実態については、03年10月にVECが発刊した「塩ビファクトブック2003」で以下のように紹介されている。

○農業用ビニルフィルム
排出量は約10万t。そのうちの50%がMRされた。主な用途は床材、履物、シート類など。主要な推進組織は農ビメーカー7社と全農による「農ビリサイクル促進協会(NAC)」。現在の再生拠点は10数ヵ所。当面目標のMR率は60%。将来の目標は100%。

○塩ビ管
排出量は継手を含めて3万5,500t(生産量は約50万t)。MR量は1万7,000t前後。MR率は48%。推進母体は、塩化ビニル管・継手協会。現在の再生拠点はMR会社17社・21拠点、中間受け入れ場32拠点の計53拠点。当面目標のMR率は2005年で80%。将来は、FRと合わせて100%のリサイクル率を目指す。

 塩化ビニル管・継手協会では、昨年末から、排出事業者に代わって使用済み塩ビ管の選別や泥落としなどの前処理を実施する複数の中間処理企業と相次いで契約を交わし、リサイクルの一層の円滑化に取り組んでいる。04年度には7社と契約、05年度はそれを16社に増やし、そして最終的には30社ていどと契約することにしている。

○塩ビ建材
 現在は、硬質塩ビ管、雨どい、窓枠、床材、壁紙の各製品が01年4月に施行された資源有効利用促進法の特定表示製品に指定されて“使用しやすい製品”として位置づけられた機をとらえて塩ビ建材業界全体がMRに本格的な取り組みを開始したところ。

 窓枠(塩ビサッシ)については、「日本サッシ協会」と「プラスチックサッシ工業会」が中心となって分別解体方法のマニュアル作りなどのリサイクルシステムの確立に取り組んできた成果を踏まえて、北海道をはじめとした各地で解体住宅からの回収とサッシへの再生の活動が活発に進んできている。

 塩ビ壁紙に関しては、03年度から「日本壁装協会」が中心となって東京都23区を対象にリサイクルシステム構築のためのモデル試験を実施中。建築施工業者によって分別された使用済み製品を破砕・圧縮減容化して有効再利用するというのがモデル試験の内容で、良好な結果が得られ実用化が図られる。これとは別に屋上緑化のためのブロック材等へのリサイクル活動などもすでにスタートしている。

 床材の場合も、03年度から具体的なリサイクル活動が始まっている。3月に環境大臣の「広域再生利用指定産業廃棄物処理者指定」を受けた「インテリアフロア工業会」の構成メンバー会社8社が、新築およびリフォーム現場で出てきた塩ビ床材の施工端材や余材を4月から分別回収して粉砕した後、各社の工場で塩ビ床材に再生する活動を全国8地域で展開している。

 塩ビ電線被覆材については、01年度からVECが電線メーカーやナゲット業者とともに、社団法人電線総合技術センターのマルチクライアント研究の「廃電線被覆材からのマテリアルリサイクル技術の実用化開発」と「ビニループ・プロセスの電線リサイクルへの適用可能性調査」の活動に参加して有効技術を開発するとともに、実用化にも踏み切って実績を上げている。