2005年05月13日
須貝・福岡大教授から見た塩ビサイディング
「一般市民に知られれば急速に普及」

 「樹脂サイディング普及促進委員会」(代表は佐々木慎介・大洋塩ビ管理部長付き部長)の推定によると、わが国の塩ビサイディングの04年度における総採用件数は3,000戸強となった模様。前年度の実績を20%強上回ったことになる。8年前の97年度の採用戸数が30戸にすぎなかったことを考えると文字通り急テンポの拡大と言える。もっとも同委員会では、本格的な需要の立ち上がりはあくまでもこれからと判断している。当面の目標は08年度で2万戸とのこと。かなり強気という印象を受ける。だが建築学の専門家の中には、もっと高い目標を掲げてよいと指摘する向きが多い。福岡大学建築学科教授の須貝高博士もその一人だ。「塩ビサイディングの潜在需要量は塩ビ業界が判断している以上に大きい。塩ビサイディングが持つ特徴が世の中に広く知られれば、リフォームを中心に眠っていた需要が一気に顕在化して採用件数は急拡大するはず」と言い切る。と同時に「しかし、それには関係業界全体がより効果的な広報活動を展開していくことが不可欠」とも付け加える。以下は同教授との一問一答である。
 
 
《 須貝教授はかねてから塩ビサイディングの普及を積極的に推進されています。建築学の専門家から見て塩ビサイディングの長所はどんなところにあると言えるのでしょうか 》

 須貝 一口で表せば、耐久性が他のサイディング材を大きく凌いでいること、これが最大の強みであり魅力ということになる。
 少し具体的に説明すると、窯業系のサイディングは寒い地域では湿気による凍結によってひび割れたり膨脹したりして、短期間に修復あるいは取り替えが必要となる。また、硬い重い物が衝突するとへこんで元の状態に戻らないという弱点も持つ。一方の金属系は、塩風などで錆びが発生して腐食が進むという大きな悩みを抱えているし、また、木製のサイディングは湿気が入って腐食しやすいという欠点を持っている。
塩ビサイディングは、防火上は注意しなければならないが、その他については優れている。しかも、材料に顔料が塗り込んであるので変色せず、他の材料のサイディングのように塗装が剥げるため一定の間隔を置いて塗り直しをしなければならないといった煩わしさもない。
 塩ビサイディングが他の材料の製品を大きく上回る耐久性を発揮すると申し上げたのは、以上に挙げたいくつかの点から言って塩ビサイディングが最も長寿命性に富む製品と断言できるからにほかならない。
 
《 耐久性以外の面ではどんな点が評価できますか 》
 
 須貝 衝撃に強いこと、軽くて施工しやすいこと、雨水の染み込みや吸い込みがないこと、汚れが水洗いで簡単に落とせること--等々が挙げられる。しかし、もう一つ私が注目しているのは自己着火温度が低い点だ。紙や木の着火温度は200〜250℃だが塩ビは454℃と高く、また表面燃焼指数が小さいので炎が広がりにくい。この点も塩ビサイディングの持つ大きな利点と言える。
 
《 そうした多くの強みを持つにもかかわらず、わが国では塩ビサイディングの普及率がまだ低い。どうしてなのでしょうか 》
 
 須貝 米国ではサイディング全体の50%が塩ビサイディングで占められており、カナダに至っては70%にも達している。なぜそんなに普及率が高いかと言えば、米国やカナダでは、先に挙げた塩ビサイディングの持つ様々な特徴・強みが多くの市民に早い時期から十分知られてきたからだ。
 それに対して日本では、塩ビサイディングの存在自体が市民にほとんど知られていない。窯業系サイディングについては、多くの建築関係者が早くから市場に窯業系サイディングの強力な販売ネットワークを張り巡らしていてPR活動もしっかり展開しているので、現在では圧倒的なシェアを確保している。ところが塩ビサイディングの場合は、基礎的な知識を市民に持ってもらうための情報ネットワーク作りがほとんどできていない。この点がカナダや米国との決定的な相違点と言える。
  
《 塩ビサイディングの存在がもっと世の中に知られれば、普及に加速が付くことになるのでしょうか 》
 
 須貝 そう思う。現に、私が知る限り、実際に塩ビサイディングを採用した人々はみんな塩ビサイディングを選んで良かったとおっしゃる。従来のサイディングだと、寒い時期に外の湿気が内部に入り込んで大量のカビが発生したりシーリングに隙間が生じたりしていたけれど、塩ビサイディングに切り替えたらいっぺんに問題が解消したといった声を最近はよく聞く。これは、何も北日本の地域に限定した話でない。関西や西日本地域でもよく耳にする。
 こうした実体験者の話がきちんと伝えられていけば、塩ビサイディングの需要は一気に広がっていくはずだ。
 
《 しかし市民に知ってもらうには、実際に家を作ったりリフォームを引き受けたりする建設会社や工務店の人々に塩ビサイディングの存在を知ってもらうのが先決と言えます。実態はいかがですか 》
 
 須貝 残念ながら建築関係者の間でもまだよく知られていない。けれど、工務店や設計事務所の人々のセミナーなどで塩ビサイディングの持つ具体的な特徴などをお話すると、さすがにプロだけあって多くの人が強い関心を示す。先に申し上げたような特徴に加えて、もともと塩ビは耐候性に優れているけれどサイディングに使用されるグレードは特に配合に工夫をこらしているのでなおのこと長持ちするようになっている、などといった話をすると身を乗り出して聞いてくれたりする。
 そして、中にはリフォームの注文が来ているけど塩ビサイディングで対応するには具体的にどうすればよいかと質問してくる人も結構増えてきている。つまりは、工務店の人々や大工さんの中にも、良いものがあればどんどん使って見たいと考えている人々が多いということだ。だから、潜在需要はけっこう大きいと私は判断している。
 
《 塩ビサイディング業界としてはもっとPR活動に力を入れていく必要があるということに・・・ 》
 
 須貝 最近は、塩ビサイディングメーカーと原料樹脂業界とが一体となって積極的にPR活動を展開するようになってきている。全国各地で工務店やビルダーさらには建材店のオーナーなどを集めてセミナーや展示会等を開催している点などは大いに評価できる。その成果はこれから着実に現われてくると思う。
 人手はかかるし、経費も結構必要となるので大変かと思う。しかし、やる限りは中途半端とならないことだ。要は効率良く活動を展開していくことであり、ついては関係者全員が知恵を絞ってより効果的な広報活動をねばり強く続けていくことを大いに期待したい。


福岡大学建築学科教授 須貝高博士