| 2005年05月13日 |
| 建築業と一般使用者の声 |
前項の須貝教授の指摘にもあるように、現在では日本国内における塩ビサイディングの知名度はまだ低い。しかし前述の「樹脂サイディング普及促進委員会」によると、最近の建築設計事務所や建築事業者の間では塩ビサイディングの持つ優れた機能に注目してその普及に積極的に取り組むところが急速に増えつつあるという。山形県鶴岡市で"あなたの住まいを一緒に育てたい"をキャッチコピーに建築業を営む「(有)親和創建」もその一つと言える。そこで、同社の大滝典子・トータルアドバイザーに塩ビサイディングに対する率直な見解を尋ねてみた。実際に自宅に塩ビサイディングを採用して数年のある一般市民の声と合わせて以下に概要を紹介する。 【(有)親和創建の大滝典子・トータルアドバイザーの見解 】 《 大滝さんは塩ビサイディングに注目し、その普及に積極的に取り組んでおいでと聞いています。どんな経緯から塩ビサイディングに興味を持つようになったのですか 》 大滝 私達が住む山形県鶴岡市は、日本の中でも特に寒暖の差が激しく、また日本海から吹き付ける潮風の影響も非常に強く受けやすい環境下にあります。 したがって住宅の外壁についても、金属系だと潮風によって錆びが発生して腐食が起こり、また窯業系の製品の場合は激しい寒暖の差と風雨によってシーリングが劣化するなり凍害によって表面がボロボロになるといった様々な問題が生じ、多くの人々が対応に頭を痛めてきました。一方、下見板という日本古来の木製の外壁はある意味では丈夫なのですが、塗装というメンテナンスが不可欠であり、この点が軽視できない短所と言えます。 言うまでもなく、外装材は外部から受ける様々な悪影響をシャットアウトして住宅を守るという重要な使命を担っていますが、既存の製品はいま申し上げたようにそれぞれ一長一短があります。そこで私達は、各製品が持つ短所を全てカバーできる優れた材料を何とかして見つけたいと考え懸命に探していたのですが、そうした時に仙台で開催されたセミナーで「樹脂サイディング」という画期的な製品と出会ったのです。そのとき講師の方のお話を聞いて、"これは塩害に対して絶対に強いはず"と確信を持ったのがことの発端と言えます。 《 製品を最初ご覧になった時の印象はどうでしたか 》 大滝 サンプルを初めて手にしたときは正直言って"こんなもので本当に大丈夫だろうか"と思いましたね。 しかし、私達が創る住宅では以前から樹脂サッシを標準品として使用していて塩ビ製品の持つ優れた機能については自ら確認済みでしたので、同じ塩ビ製品だから心配することはないはずと考え、サイディングメーカーさんや原料樹脂メーカーさん達と懇談会を開いたり他の県の現場で実際の使用実態を調査したりした上で試験採用に踏み切ったのです。 《 実際に採用してみた結果はどうでしたか。トータルアドバイザーとして推奨していく価値はあると判断されましたか 》 大滝 推奨していくだけの価値は十分あると判断しましたし、現在もそう思っています。住宅の表面にかかる荷重が小さく軽いこと、メンテナンスがほぼ不要なこと、材料が無駄になりにくいこと、施工者が作業しやすいこと、リサイクルできること--等々、住む人にとっても施工者にとってもメリットは多いと言えます。 ただし、施工者側が躯体の雨じまいをきちんと実施することが前提条件となります。また、リフォームの際に窯業系のサイディングの上にただ単に貼り付けるだけというやり方はお勧めできません。塩ビサイディングの本当の持ち味を十分に生かす方法とは言えないからです。 《 日本でも塩ビサイディングは米国やカナダのように普及していくと言えるでしょうか 》 大滝 普及していくのは確かだと思います。ただし、あるていど時間はかかるかも知れません。何といっても世の中には、良いものを知ろうとせず観念的に既存の製品が一番優れていると言ってはばからない設計士や大工さんがまだ多いですからね。 日本の建築業界は、もっと海外の良い製品や技術を積極的に吸収していくべきです。そして自分達の住む地域固有の風土をもっと十分に生かせる方法を考えるべきではないでしょうか。物まねでなく、自分達の工夫で創り上げていくことが何より大切と思います。"頭の固い人を何とかしなくちゃ・・・"などと考えず、先ずは自らが良い材料をきちんと選んで良いものを創っていけば、自ずと多くの人々から評価され同業他社からも手本にされるはずです。それに今は、施主さんもすごく勉強していて良いものは良いとしっかり評価して下さる時代でもあります。 《 ポイントは、施工業の方々の意識がどう変わっていくかということになりますか 》 大滝 塩ビサイディングに限らずどんなものでも、施工する人がきちんと勉強し、そして細部にわたって協力業者と綿密に打ち合わせをしたうえで使用していくということが何より大切と思います。そうすれば、塩ビサイディングにせよ何にせよその製品の持つ特徴を最大限引き出していけるはずです。優れた製品と伝え聞いただけで、事前の詳細な調査もせず、また関連業者と十分な施工上の検討も行うことなく採用していくようでは、プロとしての意識が低すぎます。こうした点を私達建築業に携わる人間みんなが常にきちんと自覚して行動していくことが世の中の信頼を勝ち得る最大の近道ではないでしょうか。 《 行政当局に対する注文は何かありませんか 》 大滝 敢えて申し上げるとすれば、防火に関しての考え方、さらには建築基準法や住宅性能に関しての基準があまりにも現場のことを考えないで決められているという印象を持っています。偏った見方、あるいは声の大きい方に比重を置いてものごとが取り決められているのではないかと考えさせられることが多々あります。 私達は、人生に1度か2度のチャンスに精一杯の想いをかけて家作りに踏み切られている多くの施主さんを力いっぱい応援し、協力して一緒になって立派な家を創り上げて施主さんにお渡しし、そしてその後もずっとフォーローしていくことを基本に仕事に取り組んでいます。行政の方々も、こうした私達現場の人間の声にもっと耳を傾けて、それぞれの土地柄や風土に合わせた基準と全国統一基準の適切な在り方を考えていただきたいと希望します。 【塩ビサイディング住宅にお住まいの方々のお一人、神奈川県の今村夫人のお話】 《 塩ビサイディングの採用に踏み切られたのはいつのことでしたか。また、どういった背景から塩ビサイディングを使ってみようと考えられたのですか 》 今村 およそ1年半前になりますか。窓を従来のアルミサッシ窓から樹脂サッシ窓に切り替えようと考えた時に思いついたのです。窓の切り替え工事のために組み上げられた足場を見ていたら、この家も築後16年になるのだからいっそのこと壁も新しくしたいという思いが主人ともどもつのってきて決断したのです。 《 塩ビサイディングを採用することにした理由は何だったのですか。迷いはなかったのですか 》 今村 主人と一緒にいろんな資料を比較検討してみた結果、長期的観点に立てば塩ビサイディングが最適との結論に早々に達したので迷いはなかったですね。パンフレットに掲載されている施工例を見て、外観がとても素晴らしいと感じたことも決め手になりました。ただし、お金がかかって大変だなあとは思いました。 《 実際に採用してみての感じはいかがですか 》 今村 思い切って踏み切ってよかったというのが今の率直な思いです。冬でも暖かく過ごせ、また従来のように結露に悩まされることもなくなりました。外部の騒音に対する遮音効果も大きいと日々実感しています。それに、木製の壁と違って何年たってもペンキによる塗り替えが不要な点も大きなメリットです。大変な手間ひまをかけて塗り替え作業に取り組んでおられる様子をご近所で目にするたびに、塩ビサイディングに切り替えてよかったとの思いを強くしています。 経済面でもプラス効果が大きいと言えると思います。先に申し上げたように、当初は費用が結構かかって大変だと思っていたのですが、塩ビサイディングは何せ寿命が長いので結局は割安だということが判っていまは満足しています。 《 ご近所の評判はいかがですか 》 今村 おせじでしょうが、家全体の印象が大きく変わりずいぶん素敵になったと多くの方がおっしゃって下さいます。実は、通りがかりの人が突然声をかけてこられることもあるのです。この間も庭に出ていましたら、見知らぬ人が立ち止まって家をじっとご覧になり、見慣れない壁だけどこれは何でできているのかとか、住み心地はどうかとかいろいろお尋ねでした。 また、工務店の人が訪ねてきてこと細かく質問されたりもしています。専門的な知識があるわけではないので十分なお答えができているわけはないのですが、一応納得したようなご様子でお帰りになると安心します。ぜひ多くの方々にも塩ビサイディングの採用によって私達夫婦同様の充足感を味わっていただきたいと願っています。 |