2005年10月25日
人気の「外断熱からはじまるマンション選び」
上梓の狙いと樹脂サッシを含む外断熱の展望を著者に聞く

 現代書林が出版した「外断熱からはじまるマンション選び!」が一般市民や住宅建築関係者の間で注目を集めている。「外断熱(そとだんねつ)」という言葉に対する多くの一般市民の反応は、"えっ、それって何?"というていどで認知度は極めて低い。

 著者の堀内正純さん(特定非営利活動法人外断熱推進会議事務局長)によると、外断熱工法は海外では欧米はもとより韓国や中国でも近年はごく普通の建築工法として広く市場に定着しているという。にもかかわらず何故か日本ではほとんど知られないできている。「健康で快適な暮らしをおくるための住環境の整備の大切さや環境保全の重要性を多くの人々が認識し始めたいまこそ、日本でも外断熱の持つ意味の大きさを多数の皆さんに知っていただきたいとの思いが募り書きはじめたのがこの本」と堀内さんは説明する。

 外断熱の持つ大きな意味とは一体どんなものなのか、また、樹脂サッシも不可欠な構成部門の一つとされる外断熱がわが国でも大いに普及していく見通しがあるのかどうか等々を著者に聞いてみた。

【多くの人に知ってもらいたい外断熱、樹脂サッシ窓とはワンセット】

 −堀内さんが著書を通して多くの市民に知ってもらいたいとお考えになった外断熱の持つ強みを簡単に表現するとどうなりますか。
 
堀内 外断熱は、言ってみれば建物全体を外側から断熱材ですっぽり覆って外の熱気や冷気が内部に伝わってこないようにするとともに、躯体の温度を室内温度と同調させることで内部の暖気や涼しい空気が外に逃げ出さないようにもするための工法です。もっとも、それには窓を樹脂サッシと二重ガラス(複層またはペア)の組み合わせによる断熱窓にすることが不可欠の条件となります。

 こうした外断熱によって得られる利点としては、ごく大まかに言って3点が挙げられます。一つは、マンションを例にとると、季節によって激しく大きく変動する外気温の差や雨風の影響を受けにくいため建物の寿命が長くなることです。その結果、長期間にわたって真夏でも真冬でも快適な暮らしをおくれるようになります。住居の価値が引き上げられること、これが第一の強みとして挙げられます。

 二つ目の利点は、住まい全体の内部のコンクリート温度を均一に保てることです。このため、内断熱住宅のように部屋によってカビが発生して健康に重大な影響を受けるといった心配がなくなります。

 三つ目のメリットは、省エネルギー効果が高いため冬の暖房費と夏の冷房費が大幅に節約できることです。京都議定書の発効によっていよいよわが国でも国民一人一人が地球温暖化の防止に本腰を入れて取り組んでいく必要が生じてきていますが、外断熱の住宅に住むようにすれば自ずと使命を十分に果たせるようになるのです。

【海外では中国も含めて外断熱が住宅作りの常識】

−それだけ大きな強みを持つにもかかわらず、何故日本では外断熱があまり普及していないのですか。

堀内 海外では外断熱が住宅作りの常識となっています。最近の中国でも樹脂サッシ窓とのセットによる外断熱作りが当たり前のようになっています。ところが日本ではいまだに99%が内断熱で占められています。コストがどうしても10%ていど高くなるため市民が敬遠すると指摘する向きもありますが、実際には多くの市民が外断熱の持つ長期的な強みや利点を知らされないままきているのが最大の要因と言えます。

 これには、多くの建設企業が激しい競争を勝ち抜くため少しでも安くできる内断熱工法に的を絞って受注合戦を続けてきたことが大きく影響していると言わざるを得ません。中・長期で見れば外断熱のほうがはるかに経済面でも有利なのに、多くの建築業者がそんなことは市民に伝えず、初期の投資金額とデザインだけで勝負してきた。わが国の建築業界特有の保守性が多くの消費者の快適なくらしを大きく阻害してきたと言って過言でありません。

【日本でも実際に住んでみた人には圧倒的に高い評価】

−となると、今後も容易に展望は開けないということになりませんか。

堀内 いやその心配はありません。実は、最近になって新たな動きが出てきたのです。都内に建設される外断熱マンションの多くがあっという間に売り切れるようになってきたのです。このため進歩的なデベロッパーは、都内はもとよりこれからは地方にもどんどん外断熱マンションを建設する計画を進めています。

 きっかけの一つは、2〜3年前に都内で初めて建設された外断熱マンションに移り住んだ人々が、実際に住んでみて外断熱住居ならではの快適な暮らしぶりを実感できたためその喜びを住民同士で伝えあうとともに、ホームページを使って多くの友人や知人にも積極的に紹介するようにしてきたことにあります。これは大きな効果があったと言えます。最近は、そうした外断熱ファンの方々や外断熱に興味を持った人々が定期的に集まって茶話会を開いたりもしています。

 このように外断熱の存在とその価値が世の中に知られていけば、わが国でもどんどん普及していくはずです。しかし、まだまだ知名度が海外とは比較にならないほど低い。そうした中で今回の拙著が少しでも多くの人々に外断熱のことを知っていただける材料になればこんな幸せなことはありません。

【最近は行政府も強く支援、期待できる今後の広がり】

−しかし、普及の加速には国の積極的な誘導政策も必要となるのでは、、、、。

堀内 そう思います。さいわい、国際的な省エネの動きも視野に納めて外断熱の普及を推進しようとする議員連盟も生まれました。また、経産省や環境省など関係行政府も、省エネ対策の有効策の一つとして住宅の断熱化に補助金を交付するなどの施策を積極的に実行に移しつつあります。学校の校舎のエコ改修を支援するプロジェクトも実行段階に入っています。地方自治体の間でも、公営住宅を省エネルギー効果の大きい外断熱に改修する動きが活発になってきました。

 流れは明らかに外断熱に向かっています。それだけに、私たち外断熱推進会議でも樹脂サッシやガラス業界の皆さんともども、時機を逸することなく使命をきちんと果たしていきたいとの思いを一層強くしているところです。


堀内正純氏