2006年09月03日
小杉隆・自民党環境調査会会長に聞く
目指す政策の基本は《環境と経済の好循環》 評価できる庁舎の断熱化対策

 --小杉会長が環境政策に深い係わりを持つようになったのはいつごろからでしょうか。 小杉 昭和40年に都議会議員に初当選したときからですね。当時東京都では自動車の排ガス公害問題が深刻な様相を呈し始めていて、早急に抜本的な対策を講じなければこれは大変なことになると考えたからです。その後、衆議院議員になってからも一環して環境政策を最重要課題に掲げて今日に至っています。
 もっとも、当初と現在とでは実現に取り組むテーマの内容が当然のことながら時代の変化とともにかなり変わってきています。現在の私は、環境とエネルギーの係わりに特に強い関心を持っており、様々な角度からの詳細な調査と最適の対応策の推進に懸命に取り組んでいるところです。また、適正な廃棄物対策として不可欠と言える3R、すなわちリサイクル・リデュース・リユースの強力な推進も重要課題の一つと考え、関係各方面と緊密に連携して有効な施策を展開中です。

 --目指す環境政策の基本理念を簡単に表現するとどうなりますか。 
 小杉 一言で表せば「環境と経済の好循環の実現」ということになります。環境政策も、経済の発展とうまく調和していけるものでなければ長期にわたって十分な効力を発揮できず、国民全体の幸せに結びつくことにもなりません。そのあたりをきちんと認識して環境保全と経済発展が両立し続ける政策を展開していくことが私たち政界に席を置く人間の重要な使命と考えています。

 --環境保全には産業界のみならず国民の工夫と努力も不可欠です。しかし、地球温暖化防止策の一つの温室効果ガスの排出削減、つまり省エネについては民生部門の立ち遅れが目立ちます。
 小杉 04年の温室効果ガスの排出量は産業部門が93年の横並びにとどまっているのに対して民生部門が2.5倍に、また運輸部門が2.1倍にそれぞれ大きく膨らんでいます。従って、京都議定書の目標のクリアには民生部門と運輸部門の排出量の今後の大幅な削減がどうしても必要となります。うち、民生部門には業務部門も含まれるので、一般市民だけでなく民間企業や多くの行政府もうんと知恵を出していかねば一定の成果を上げることはできません。まさにいまは国民全体の意識の改革がこれまでになく強く求められている時と言えます。
 
 --その民生の省エネの有力手法として最近の建築学界や市民の間で注目されているものの一つに住宅やオフィスの窓の断熱化があります。小杉会長は窓の断熱化についてどういった見解をお持ちでしょうか。
 小杉、私も住宅をはじめとした各種建築物の断熱化、特に最大の開口部である窓の断熱化の推進は極めて重要な政策課題の一つと考えています。樹脂サッシと複層ガラスの組み合わせによる断熱・省エネ窓の普及は温室効果ガスの排出削減にかなり効果があると判断しています。その場合、新築の窓を断熱窓にすることもさることながら、既存の建築物の窓に断熱性能に優れた内窓を設置するのも有効な対策と言えます。当然政府としても様々な支援・促進策を展開していくべきと考えています。

 --折から、環境省が本庁舎に樹脂サッシと複層ガラスを組み合わせた内窓を採用して省エネを図り温室効果ガスの削減に役立てていくプロジェクトをスタートさせました。このプランについて小杉会長はどういった感想をお持ちでしょうか。
 小杉 評価されてしかるべきでしょうね。何せ多くの府省のこの数年における温暖化効果ガスの排出削減量は当初の目標を大きく下回るレベルにとどまっていますから、環境省のプロジェクトがきちんとした成果を上げることを期待しています。
 もともと政府は、環境に優しい製品や技術を積極的に採用していく方針を打ち出しているのですから旗振り役の環境省が率先して自らの庁舎を断熱化して省エネを図ることにした点は世の中全体からも高く評価されると思います。ついては、他の府省でも同様のプロジェクトを早急に立ち上げることが望まれます。そうした行政府の積極的な行動が起爆剤となって広く民間の住宅でも開口部の断熱化が進んでいけば、わが国全体に大変な波及効果が出てくるのではないでしょうか。

 --最後に化学業界に対する環境保全面での提言があればご披露下さい。
 小杉 いうまでもなくいまや日本は世界の中でも最もレベルの高い工業国の一つとなっています。それを支えてきた一つは化学技術であり、環境保全の面でも化学技術は大きな役割を果たしてきています。それが日本全体の工業の発展をもたらすと同時に化学業界自らの国際競争力の強化にも結びついてきた点は多言を要しないところです。これからの環境保全にも優れた化学技術が大きく貢献していく場面がますます増えていくと思われます。先にIEAがまとめた行動プログラムの中でも、日本が優れた化学技術を活用して世界のリーダーシップを十分に発揮するよう期待する旨が明記されています。そうした点を十分自覚して地球環境問題の解決にも率先して尽力していただきたいと思います。


小杉隆・自民党環境調査会会長