2007年01月19日
人気高まる高断熱型マンション
塩ビサッシも人気の広がりに大きく寄与

デベロッパー大手に現状と展望を聞く

 優れた断熱性能を最大のセールスポイントとする省エネ型外断熱マンションがここにきて多くの市民の間で注目されるようになってきた。断熱性能が高いため夏冬を問わず1年を通して快適な暮らしをおくることができ、またカビとダニの発生の原因となる結露に悩まされることもない点などが多くの人々に知られ始めてきたことによる。
 実際に入居した人々の間でも人気がおどろくほど高い。熱伝導率がアルミサッシの1,000分の1という優れた断熱性能を持つことから全面的に採用されている塩ビサッシによる〓断熱窓〓に対する評価も極めて高い。そうした人々の声は、この「暮らしとサイエンス」のコーナーでもいくつか紹介した。では、この外断熱マンションの普及に取り組んでいるデベロッパーは最近の人気の広がりをどう実感し、そして今後をどのように展望しているのか。この分野のパイオニアとして知られる康和地所の久保郁八専務に話を聞いた。

— はじめに、御社の外断熱マンション事業の歩みをざっとご紹介ください。

久保 当社が最初に売り出した外断熱マンションは都内墨田区亀沢町に02年2月に発売した「リリーベル両国北斎通りサーモス」でした。首都圏で初の外断熱工法によるマンションだったのですが、さいわい、入居された皆さんから「断熱性能が高いので大変に過ごしやすい」との声をお聞きすることができ、大いに自信を強めました。
 以来、こんにちまでに合計18棟を各地に建設し販売しています。戸数換算では約770戸ということになります。極めて順調な伸びと言えます。

— どんな背景から外断熱マンションを手掛けることになったのですか。

久保 ある大手デベロッパーに勤めていた当社の夏目康広社長が、もっと多くの人々に喜んでもらえるマンションを作れないものかと考えていたとき、ある雑誌で外断熱工法による断熱マンションが欧州では当たり前の存在となっていることを知ったのが大きなきっかけになったと言えます。ただちに欧州に専門家を派遣して2ヵ月で5ヵ国を回って調査させた結果、外断熱工法によるマンションが人の健康の保持と住居の長寿命化に大きく貢献している点が各地で確認できた。そこで国内にも同じ建物がないかどうかを調べたところ、北海道の江本工業の江本社長が自らの工夫で札幌に外断熱住宅を作って真冬でも快適に暮らしておられることが分かったので現地をお訪ねしていろいろとお話をうかがった。その結果、これならわが国でも多くのお客様の人気を得られると判断して両国で外断熱工法第1号のマンションを発売しました。いらい社を挙げて外断熱マンションの普及に全精力を投入しているところなのです。

— 設計に当たっては特にどんな点に重点を置いていますか。また入居者の反応はいかがですか。

久保 当然のことながら私たちが第一に考えるのは、建物全体が長期にわたって優れた断熱性能を発揮し続けるようにすることです。厳しい寒さが続く冬場であれ、不快な暑さに悩まされる夏場であれ、わずかなエネルギー使用量で居住空間のどこにいても最適な室温のもとで家族全員が快適な日々を過ごせる建物を提供していくこと、これが経営の基本だからです。
このため、冬場には冷気がそして夏場には熱気が外部から入り込みやすい開口部、窓の断熱化には、熱伝導率がアルミサッシの1,000分の1という樹脂サッシを全面的に採用しています。建物全体の断熱性能の確保には樹脂サッシによる窓が不可欠と判断したからにほかありません。
 さきほども申したように、外断熱マンションを購入いただいた皆さんからは「入居してからはとても快適に過ごせるようになった」とのお声をたくさん頂戴しています。冬を暖かくそして夏を涼しく過ごせるようになり、そして結露に伴うカビやダニの発生に悩まされることもなくなったといったお声が大変に多く、私たちも大いにやりがいを感じ、生き甲斐をかきたてられています。これも、塩ビサッシによる断熱窓の存在なくしては語れない点と言えます。

— ただし、価格が既存のマンションに比べると若干高いようですね。

久保 懸命にコストを切り下げてはいるのですが、いまの時点の購入価格はまだ従来型のマンションを上回ります。しかしそれにもかかわらずここにきて人気が湧いてきたのは、優れた断熱性能によって一生を快適に過ごせるようになる点や、日常の光熱費をかなり節減できること、さらには寿命も従来型のマンションのそれを3倍前後上回る100年以上と長いこと等々の長所を多くの市民の方が公平に評価して下さるようになってきたからではないでしょうか。それに、初期投資が多少高くても子供や孫の代まで優れた価値を享受していける住まいを強く求める人が増えてきたことも大きいと思います。

— 今後についてはどのように展望していますか。

久保 現在は、まだ外断熱工法そのものが世間一般によく知られていません。しかし外断熱の持つ良さが知られさえすれば、省エネに対する市民の意識の高まりもあって普及にうんと加速がついていくと見ています。国が次世代省エネ基準を強化する方向を目指しているようなので、その点も追い風になると思います。
 当面の当社の建設・販売目標は年間10棟です。首都圏にとどまらず、東北地方から沖縄まで幅広くカバーしていき、3年後にはトータル1,000戸の大台に乗せたいと考えているところです。1,000戸に達するとそこでさらに大きく弾みがつくことになると見ています。