2007年03月27日
塩ビサッシ採用の断熱・省エネマンションに都が“満点”の評価

<梅木篤郎・明豊エンタープライズ社長に開発の狙いと今後の展開を聞く>

 大型マンションの持つ“環境へのやさしさ”の度合いを評価してその結果を星(★)マークの数で表示する「東京都マンション環境性能表示制度」で最高ランクの三ツ星(★★★)を必要4項目すべてにわたって取得したマンションが出現、多くの市民の注目を集めている。

 外断熱マンションの新鋭デベロッパー「明豊エンタープライズ」がこの3月末に都内江東区に完成した14階建て127戸の「シェルゼ木場公園」がそれだ。同社が普及に懸命の“100年耐用型マンション”の一つで、都が定める「断熱性」「省エネ性」「長寿命」「みどり」の環境性能4項目全てで最高評価の三ツ星を取得した。

 審査対象となった59の物件のうち4項目すべてで“満点”の評価を得たのはこの1棟だけであった。このマンションに採用されている窓枠も、同社がこれまで手がけてきた断熱・省エネ型マンションと同様にすべて樹脂(塩ビ)製品。「熱伝導率がアルミの1000分の1と小さい塩ビによる樹脂サッシを窓枠に使用するのは当然」と言う梅木篤郎・同社社長に“100年耐用型マンション”の開発・普及の狙いと今後の事業展開策を聞いた。

—はじめに、「東京都マンション環境性能表示制度」で満点のオール三ツ星評価を得たマンションの概要からご紹介下さい。

梅木 今回オール三ツ星評価をいただいた「シェルゼ木場公園」は、現在当社が手掛けている外断熱工法による“100年耐用型マンション”「シェルゼ(SHELLZE)シリーズ」の一つです。「シェルゼシリーズ」はコンクリート躯体の外側をグラスウ−ルによる断熱材と外壁とで覆っているのが大きな特徴で、このため居住者は寒さが厳しい冬場でも猛暑に襲われる夏場でもともにエアコンを最初にごく短時間使用するだけでどの部屋でも長時間にわたって快適な室温のもとで過ごすことができます。

 それに、建物の外部と内部の温度差を最小限度に維持できるので結露が生じることがなく、人の健康に重大な支障をおよぼすカビやダニの発生に悩まされる心配もありません。また、建物の最大の開口部である窓に樹脂サッシとLow-Eガラスとを組み合わせた断熱窓を全面的に採用していることも「シェルゼシリーズ」の持つ強みの一つと言えます。建物全体の断熱・省エネ性能の確保には、この断熱窓も大きな役割を果たしています。もう一つの強みには、外側が断熱材で保護されているのでコンクリートの躯体が熱の変化で劣化することがほとんどないことが挙げられます。したがって建物全体の長寿命化も図れるというわけです。

—そうした高環境性能マンションを手掛けるようになったのはいつからですか。

梅木 会社の創立は40年前の1968年ですが、外断熱工法マンションの分野に進出したのは比較的最近で、03年に杉並区高井戸に作った賃貸マンションが外断熱マンションの第1号でした。入居された方のうち2世帯の方にお願いして1年間モニターを務めていただいたところとても良好な評価が得られたので、自信を深めて目黒区青葉台と江東区豊洲にも同じ性能の賃貸型マンションを作りました。そこでも住民の皆さんから大変高い評価をいただけたため05年にはいよいよ分譲マンション分野にも出て行くことにしたのです。

 その第1号が05年1月竣工の総戸数36戸の「サンフル池上シェルゼ」でした。続いて江東区の「シェルゼ木場公園」、府中市の「シェルゼ府中の森公園」や文京区の「シェルゼ千駄木」の販売を開始したのですが、さいわい住民の皆さんに好評で、口コミによって知名度が急速に高まってきました。目黒区内に昨年5月にオープンした体験宿泊が可能な施設「シェルゼパビリオン」には体験宿泊の希望が殺到していて土・日曜日は数ヵ月先まで予約で一杯の状態です。また、様々な情報を提供させていただいている「シェルゼクラブ」には3万3,000人の方が会員として登録されるまでになっています。
 
—梅木社長は、どういったきっかで外断熱マンションを手掛けることになったのですか。

梅木 南海建物さんの外断熱のモデルルームを拝見して、これはマンションに適用しても必ず世間で受け入れられると直感したのが最初です。これからの市民の方々が求める断熱・省エネニーズにピッタリ合致する建物と思いました。
 
—経営の基本理念は何でしょうか。

梅木 「購入してくださった方を生涯のお客様として一生お付き合いさせていただくこと」、これを基本理念とし、リビング・サービス・システムというサービスを提供しています。販売したらそこでおしまいといったビジネスの仕方はしません。リフォームはもとより、住み替えに伴う売却や賃貸さらには買い替えなど様々なサポートシステムを一生にわたって提供させていただきます。断熱・省エネ・長寿命性能に優れた外断熱マンションはこうした中身の基本理念を確実に実現していくのにベストの建物なのです。

—樹脂サッシは最初のマンションから採用されましたか。

梅木 当然です。樹脂サッシの熱伝導率はアルミの1000分の1です。建物全体の断熱・省エネには最大の開口部である窓の断熱化が不可欠ですから樹脂サッシを採用するのは私たちにとって当たり前のことなのです。「サンフル池上シェルゼ」に続く「シェルゼ木場公園」、「シェルゼ府中の森公園」や「シェルゼ千駄木」はむろんのこと、年内に完成する高井戸、砧さらには神奈川県内の数棟のマンションにも全て樹脂サッシを使います。

—外断熱マンションの今後についてはどのように展望していますか。

梅木 昨年の「住生活基本法」の制定や、京都議定書の発効に伴う国を挙げての二酸化炭素の排出削減機運の高まり等々から判断しても住宅の省エネ・断熱・超寿命化は大きく加速されていくと思います。これからは市民のほとんどが断熱・省エネ型の価値の高い長寿命住宅を強く求めていく時代です。ですから外断熱マンションの将来は明るいと確信しています。

 私は、住宅だけでなく病院や学校など衛生面が重視されるべき建造物は全て断熱・省エネ・長寿命型に切り替えていくべきと考えています。塩ビ業界や塩ビサッシ業界も、軽量化などの課題を早期にクリアーして断熱・省エネ・長寿命建築物の普及に大いに寄与していっていただきたいと思います。