2007年06月25日
【立証された塩ビサッシの断熱・省エネ性能】(1)
《環境省の内窓の実装・実測調査で明らかに》

 温室効果ガス排出削減の動きがいよいよ米国や中国、印度をも巻き込んでより大きなうねりとなって世界全体に広がり始めた。技術先進国の一つであり、また京都議定書の取りまとめ役を果たした国でもある日本がどういった行動を取るかがこれまで以上に注目される。

 重要なポイントは、立ち遅れが目立つ民生部門の省エネをどこまで徹底させていくかにある。政府もこの点を十分に自覚、業務や事業の遂行に伴って排出される温暖化ガスの削減に率先して取り組み始めた。

 そうした中で特に目を引くのは、地球環境保全の旗振り役である環境省が昨年11月以降毎週月曜日の朝を除いて本庁舎の暖房を全面的に停止、替わって庁舎の窓に塩ビサッシと複層ガラスを組み合わせた内窓を設置して庁舎の断熱(保温)・省エネのランニング実証行動に踏み切った点だ。

 実測データは近く公表される見通しだが、関係者によると、本紙が5月9日に報じたように暖冬となった今年の冬でさえ同内窓の開閉によって室内の温度に明確な差が生じることがはっきり確かめられたという。この事実が広く世間に伝われば、ビルから戸建住宅に至るまでの多くの建物の断熱・省エネに塩ビサッシを活用する動きが大きく加速されることになりそうだ。

 そこで、同省にあってこの断熱・省エネ窓の採用の陣頭指揮を取ってきた小林光官房長と、塩ビサッシと複層ガラスの組み合わせによる窓の持つ断熱・省エネ効果の大きさをかねてから指摘してその普及の必要性を強調してきた東京大学大学院の坂本雄三教授に今回の実証試験(実測調査)結果の持つ意味や今後の活用の在り方について意見を聞いた。また、樹脂サッシの普及に懸命の塩ビ工業・環境協会の樹脂サッシ普及促進委員長を務める市村浩信・信越化学顧問にも同じ内容について話をしてもらった。

《小林光・環境省官房長に聞く》

 政府の温室効果ガス対策もかなりの成果を

—本題に入る前に、先ずは、かねてから政府全体で取り組んでいる温室効果ガスの排出抑制策、「政府がその事務及び事業に関し温室効果ガスの排出の抑制等のため実行すべき措置について定める計画(政府の実行計画)」の概要と最近の実績からご紹介下さい。

小林 この計画は、事業者や家庭に先駆けて政府自らが事務や事業の遂行の際に排出する温室効果ガスの量を抑制することで温暖化対策の社会全体への広がりを大きく牽引していこうという狙いから策定されたものです。平成14年に計画がまとめられ、その目標のクリアを目指して各府省があらゆる面で省エネの徹底を図っているところです。

 手法は実に多彩で、庁舎内の各種照明器具の使用の大幅削減や再生紙など再生品の一層の活用はもとより、公用車輌やエレベータの稼動の抑制、冷暖房装置の使用規制等々、文字通り多岐にわたっています。削減目標はかなり高く、平成22年度から24年度までの温室効果ガスの排出量の平均を平成13年度比で8%削減することにしています。さいわい着実に成果が上がっています。平成18年度は、13年度比で15%ていどの減少になったのではないでしょうか。

 効果あった樹脂サッシと複層ガラスの断熱窓の採用

—そうした中で環境省では、対策の一つとして昨年10月から今年3月にかけて塩ビ樹脂サッシと複層ガラスの組み合わせによる断熱性の内窓の設置に踏み切りました。これは、政府自らの省エネには庁舎の省エネが重要と判断し、その課題をクリアする手段の一つとして窓の断熱化を決めたものとうかがっています。

小林 樹脂サッシと複合ガラスを組み合わせた断熱窓を庁舎に設置した例はこれまでの日本にはなく、今回が初めての試みでした。採用に踏み切ったのは、他の府省に先駆けて本庁舎の無暖房化を決めたからです。昨年11月以降、暖房は毎週月曜日の朝の時間だけにして、他の時間はすべて暖房を停めることにしたのです。けれど、無暖房にした結果仕事の能率が著しく低下したり職員の健康が損なわれたりしたのでは何にための省エネかわからなくなる。そこで、職員が知恵を振り絞って考えついたのが建物の最大の開口部である窓を断熱化することであったというわけです。

—その結果、どういった成果が得られましたか。

小林 予算の関係で環境省の執務スペース全ての窓を断熱化するには至らなかったのですが、それでもはっきりした効果が得られることが確認できました。この1月に実施した実測調査では断熱窓をきちんと閉めた状態の時と開けっぱなしにした時とでは室内の温度にかなりの差が生じるとのデータが得られました。私も室温に違いが出ることは自らの肌ではっきり感じ取れました。今年の冬場を暖房なしで乗り切れたのは、やはり断熱内窓を設置したからこそと思っています。

 省エネというと、どうしてもかなりのがまんを強いられることになると受け止める人が多いようです。しかし今回の私たちの実験の例からも明らかなように、優れた材料や技術を活用することで無理なく身近な省エネを実現することは十分可能なのです。こうした点をもっと多くの人々に知っていただきたいですね。

—今回の環境省の実装試験は、そうしたことが多くの人々に知ってもらえるきっかけを作ったということにもなりますか。

小林 そう言えると思います。窓の断熱化が建物全体の省エネにいかに有効かを多くの人々に示す有力な材料を手にできたこと、これは大変に大きな意味を持つと言えます。最近は温暖化効果ガスの排出削減に民生部門の省エネの進展が特に重要な点が様々なデータによって明白にされてきているだけになおさらです。
 あとは、今回の実証試験の結果も活用しながら政府が庁舎の窓の断熱化に積極的に取り組んでいくと同時に、窓の断熱・省エネの重要性とその実現が十分可能な点などを広く世の中の人々に丁寧に伝えていくこと、これが重要な課題となります。

 建物全体の省エネ材料としての普及に期待

—塩ビサッシの活躍の場はもっと広がっていくと言えますか。

小林 その可能性は極めて高いと思います。窓の断熱化は建物全体の断熱・省エネに大きな効果を果たすにとどまらず、冬場の結露の発生による健康障害や浴室における高齢者のヒートショックの防止にも大きく寄与します。ですから私たちも、塩ビサッシと複層ガラスの組み合わせによる断熱窓の普及には大きな期待を寄せているのです。

 環境配慮契約法の改正案が国会を通過したことで、これからは行政府の建物にはコスト面だけでなく環境も十分配慮した適切な材料が選ばれ採用されるようになります。こうしたことも塩ビサッシなど環境適合製品に取っては追い風となるのではないでしょうか。戸建て住宅やマンションにおける塩ビサッシの普及の加速にも寄与すると見ています。

 これからは、環境に適合した技術や製品の開発と普及に努力した業界や企業が必ず報われる時代となります。ですから塩ビサッシなど環境適合製品に係わる皆さんの一層のがんばりに期待しています。


小林 光環境省官房長