| 2007年06月25日 |
| 【立証された塩ビサッシの断熱・省エネ性能】(2) |
| 《坂本雄三・東京大学大学院教授に聞く》 |
住環境改革フォーラムの実験でも明確な差が —はじめに、環境省がこの冬期に東京・霞ヶ関の本庁舎で実施した断熱・省エネ窓の性能実測調査の結果についてお聞きかせいただきたいと思います。坂本教授は今回の調査の結果をどのように評価されていますか。 坂本 まだ詳細にお聞きしていませんが、仄聞したところではどうやら私たちがかねて予想していたのと同様の結果が出たようですね。今回の比較実測調査では、塩ビサッシと複合ガラスの組み合わせによる窓の持つ優れた断熱・省エネ性能がはっきり確認できたというようにうかがっています。 実は最近、私たち「住環境改革フォーラム」でもいくつかの種類の窓の断熱性能の比較実験を実施してみたのです。実験に当たっては、3種類の窓、(1)塩ビサッシとアルゴンガス封入の複層ガラスとを組み合わせた窓(2)塩ビサッシとアルゴンガスを封入しない複層ガラスとを組み合わせた窓(3)塩ビとアルミの複合サッシとガスなしの複層ガラスとを組み合わせた窓の3種類の窓それぞれが持つ熱貫流率を計測して比較するという方法を取りました。 窓の熱貫流率については、単位1平方メートル1度につき寒冷地(〓地域)で2.33ワット、温暖地(?地域)で4.65ワットという基準があります。これに対して私たちが実施した実験では、塩ビサッシとガス封入複合ガラスとを組み合わせた窓の熱貫流率は最も高いケースでも2.06ワット、最も低いケースでは1.58ワットという結果が出ました。 また、塩ビサッシとガスなしの複層ガラスとを組み合わせた窓の場合でも窓の熱貫流率は最も高いケースで2.37ワット、最も低いケースで1.82ワットというデータが得られました。ちなみに、アルミサッシと一枚ガラスとの組み合わせによる既存の窓の熱貫流率については最大で6.51ワットになるとのデータもあります。 今回の環境省の調査では、おそらくいま申し上げた私たちの実験結果と同じように、塩ビサッシと複層ガラスとを組み合わせた窓が十分な断熱性能を備えているという結論が導き出されたのではないかと思います。 —しかし、環境省の実測調査の結果も、また住環境改革フォーラムの比較実験の結果も一般市民にはまだ伝わっていません。もったいないという気がします。 坂本 そうですね。最近は地球温暖化問題が毎日のようにマスコミに取り上げられていることもあって、多くの一般市民が温暖化ガスの排出問題に重大な関心を持ち、民生部門の省エネの重要性についてもしっかり認識するようになってきています。ですから、きちんとした実験なり調査なりで得られたデータはできるだけ多くの人々に知ってもらえるようにすべきでしょうね。そうすれば、市民の省エネ意識が一層盛り上がり、そして多くの人々が優れた断熱・省エネ材料や機器をこれまで以上に積極的に採用するようになるでしょうからね。 私たちの住環境改革フォーラムも、できるだけ早くデータを整理して公表したいと考えています。 評価される最近の行政府の省エネ・断熱推進策 —最近は、環境省だけでなく他の府省も民生の省エネの推進に力を入れていこうとしており、そうした中で住宅の断熱・省エネにも熱心に取り組むようになってきている印象を受けます。 坂本 そう言えますね。経産省、環境省、国交省の3省が学識経験者に参加を求めて「ロ・ハウス構想推進検討会」を立ち上げたり、経産省が総合資源エネルギー調査会の省エネルギー基準部会の下部組織に「住宅・建築物判断基準小委員会」を設置したりしていることなどにもそれが端的に表れています。行政府が住宅の断熱・省エネ対策にこれまで以上に熱心に取り組み始めているのは確かであり、こうした点は大いに評価されてしかるべきです。 しかも、そうした検討会や審議会では、“住宅の省エネ・断熱化には最大の開口部である窓の断熱・省エネも不可欠”と指摘し、加えて“省エネ・断熱性に優れた製品に対しては、一般市民がその点を容易に判別できるラベルを貼るようにすべき”といったことを提言したりもしています。 欧州では早くから政府が住宅の断熱・省エネ化を強力に推進してきましたが、日本でもいよいよ政府が本格的に取り組みはじめたと言ってよく、これからの具体的な政策の取りまとめと実際の行動が大いに注目されるところです。 塩ビサッシの普及には弾みがつきそう —塩ビサッシの将来性についてはどのように判断していますか。 坂本 これまでお話してきた行政府の行動や一般市民の間に急速に広がり始めた省エネ機運などは、明らかに塩ビサッシに取って追い風になると思います。特に、環境省の実測調査で塩ビサッシと複合ガラスの組み合わせによる窓の持つ優れた断熱・省エネ性能が認められたことは、今後の塩ビサッシの普及を大きく加速することになるのではないでしょうか。 ともあれこれからは、住宅部材についても、産業界全体で海外の多くの国々と同様に真に断熱・省エネ性能に優れた製品を集中的に育成し、普及させていくことが極めて重要です。その意味ではいま住設業界は一つの岐路に立っていると言えるのではないでしょうか。 ![]() 坂本雄三東京大学大学院教授 |