| 2009年03月17日 |
| 樹脂サッシの高断熱性、東大が実測調査で実証 |
| エアコンの消費電力43.1%の削減も確認される |
東大キャンパスの省エネ改修を皮切りに全国の事務系事業所の建物から排出されるCO2の削減のモデル作りを目指す「東大サステイナブルキャンパスプロジェクト室(TSCP室)」が今年1月から2月にかけて樹脂サッシ窓の断熱性能の実測調査を実施してきた結果、樹脂サッシが建物の断熱・省エネルギーに大きく寄与する点を明確に示すデータが多数得られたことがこのほど明らかとなった。 これは、東大・本郷キャンパス内の本部棟内の総長・理事室フロアーの各室に樹脂サッシによる内窓を設置して、設置前と設置後にどのような温度差が生じるかを測定した結果明らかとなったもの。それによると、樹脂サッシ窓を設置した後は窓を通して入ってくる低温の外気温のかなりの部分が樹脂サッシによって遮断され、その結果暖房のためのエアコンの電力消費量を樹脂サッシ窓の設置前に比べて43.1%削減できることが確認されたという。樹脂サッシ特有の優れた断熱性能によって窓全体の熱貫流率が大幅に縮小され、それがフロア全体の断熱化を大きく促進することになる点が実証された。 また、TSCP室が同フロアーで働く複数の職員に樹脂サッシ窓の設置後の感想を聞いたところ、全員が明確に変化を感じていると回答してきたという。「朝出勤して部屋に入ったとき以前のように寒さを感じることがなくなった」、「エアコンの設定温度を低くしても支障がなく、またエアコンをつける頻度が減り、一日中つけずに済むこともままあるようになった」、「夜になっても室内が寒くならなくなった」、「以前はエアコンをつけても足元が寒かったが、いまは寒い日でも室内が冷えないのでその悩みがなくなった」といった声が相次いで寄せられたとのこと。省エネに加え、執務・生活環境の改善にも大きく寄与する点がこうした“証言”からも立証されたと言える。 地球環境問題に対する一般市民の関心がこれまで以上に高まっている中だけに、今回の調査結果が今後の住宅・建築物の断熱・省エネにどう生かされていくかが注目される。 TSCP室が樹脂サッシの断熱・省エネ性能の確認を目的に本郷キャンパスの本部棟内に樹脂サッシによる内窓を設置したのは今年2月1日。前日の1月31日に作業を開始して都合2日間で同フロア内の7部屋全ての窓の内側への設置を完了した。設置スペースは104平方メートルとなった。次いで翌日から各部屋とホールにセットされた温度センサーを使って室温の変化の測定に入り、13日に必要データの収集作業の全てを終了した。 続いてTSCP室では、この期間で得られた計測・測定結果と1月16日から30日までの間にあらかじめ収集しておいた樹脂サッシ設置前の測定データとの比較検討作業を開始、そこで得られた結果を入念にチェックして報告書に取りまとめた。 作業の内容を簡単に整理すると以下のようになる。 (1)1月16日から2月13日までの毎日の外気温と屋内(各室内とホール内)温度の変化を時系列で詳細に捉える。 (2)使用したエアコンの消費電力量と熱量を毎日計測する。 (3)以上の計測結果を踏まえて、樹脂サッシ窓の設置前と設置後における窓の熱貫流率の変化を把握する。 (4)これらのデータ全てから、エアコンの電力消費量にどのような変化が生じたかを推測する。 の4項目に集約される。 そこで得られたデータの中で特に注目されるのは、樹脂サッシ窓の採用によって窓全体の熱貫流率を大幅に低下できることが明らかになった点だ。最も顕著な例では、設置前に4.1w/平方メートルであったサッシ部の熱貫流率が設置後には1.79w/平方メートルまで低下、そして窓全体の平均も4.76w/平方メートルであったのが2.72w/平方メートルまで下がったことが確認された。ドアの開け閉めが頻繁な秘書コーナーの場合でも、サッシ部は4.64w/〓であったのが2.45w/平方メートルに、そして窓全体の平均は5.46w/〓であったのが3.35w/平方メートルにそれぞれ下がったとのデータが得られている。 こうした結果、同フロアではエアコンの設定温度と使用頻度を大きく引き下げることが可能となり、それに伴い消費電力をフロア平均で43.1%削減できることになったというのが今回の報告書の結論となっている。 TSCP室の産学連携研究会の主査として今回の樹脂サッシ窓の試験採用をリードしてきた東大大学院の坂本雄三教授は、今回の実測調査の結果について「あらかじめ予想していた通りのデータが得られた」と述べる。そして「今回は樹脂サッシと組み合わせるガラスには単板を使用するにとどめたが、それでも大きな断熱・省エネ効果が得られることが確認できた。複層ガラスを組み合わせればさらに大きな効果が上がるはず」という。また、「わが国全体の温室効果ガスの排出削減には民生部門のCO2の削減が不可欠なので、今回の実測結果が住宅・建築物の省エネに生かされることを期待する」とも語る。ただし、「本格普及にはコストの合理化が重要課題」とも指摘して、関係各社に一層の努力を要請したい旨を表明した。 |