2003年01月14日
凸版印刷が、有機顔料で有機ELの発光材料開発へ
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:凸版印刷

 凸版印刷はフルカラー有機EL(エレクトロルミネッセンス)材料やディスプレイの開発で、英オプシス社のナノ材料「デンドリマー」の技術を導入し、製品化を急いでいるが、同材料の内容について、有機有料系であることを明らかにした。
 
 凸版印刷では目下、埼玉・杉戸の総合研究所で同材料の研究を急いでいるが、製品化の目標時期を当初の3〜4年間から2年間に短縮する考えである。
 
 同社は昨年10月末にオプシス社と有機EL材料(発光素材)の協同開発契約を結んだ。これは凸版印が高分子ポリマー有機ELの基本特許を持つ英ケンブリッジ・ディスプレイ・テクノロジー(CDT)に資本参加、経営権を取得し、一方でCDTがオプシス社の経営権を取得するという一連の動きの中で行われたもの。
 
 オプシス社のデンドリマーは規則的分岐構造を持つ樹脂状の分子。同一分子に発光機能と塗工特性の両方を組み込むことで単純な構造で高機能を持つ有機ELディスプレイを実現する。
 
 高分子ポリマーはCDTがインキ化が容易でコーティング特性に優れ、大面積、低コストの同ディスプレイを実現する技術で多くの特許を取得している。
 
 凸版印刷としては印刷業として赤、緑、青の三原色を塗り分ける特殊な技術を持っていることから、提携にふみきったわけだが、ディスプレイそのものについては、カラーフィルターやスクリーンを作っている立ち場から、他のディスプレイメーカーとの協業にならざるをえないとしている。
 
 このため、発光素材の開発が中心となるわけだが、フタロシアニンブルー(有機顔料)に重点を置いた色素を対象にする見通し。
 有機顔料は水に溶けにくい性質があるが、フタロシアニンブルーは水溶性があり、ウェットコーティング、インクジェット、印刷、フォトリソなどの手法による低コストな有機EL層塗りわけが可能となっている。