2003年02月13日
実用化段階に入った発光ダイオード(LED)
2010年で5,000億円市場へ
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:豊田合成、日亜化学、NEDO

 ガリウム系化合物半導体を用いた可視光の発光ダイオード(LED:ライトエミッティングダイオード)が実用化の段階を迎えている。電力の消費が電球の10分の1、けい光灯の2分の1で寿命が長く(1万時間)、熱の発生量が極めて少なく、設備が小スペースにおさまるといういいことずくめの「可視光」が実用化されると、明るさ・照明の世界ががらりと変り、省エネルギー化も大幅に進む。
 
 市場規模でも現在の1兆円(装置を含む)の照明機器の国内生産額のうち2010年には半分の5,000億円がLEDにかわるとの見方もでている。そのスピードは2008年で12〜20%がLEDにかわり、2010年には50%に達するというのだから大変な勢いである。
 
 LEDは高光度青色LEDの製造技術を開発した日亜化学と豊田合成の長年にわたる特許係争で有名になったが、世界的には1960年代の後半から研究開発が進められてきた。なかでも窒化物系混晶半導体・InGaNを用いた10カンデラ以上の高光度青色LEDとけい光体・YAG;Ceの組み合わせにより、発光効率20 1m(光束)/w(ワット)以上の白色LEDが開発されたことが、照明光源として脚光をあびるもとになった。
 
 白色LEDはわが国で生まれた技術であり、ガラス管式白熱電球、けい光灯に代替することが可能な固体照明光源としての期待が大きい。白色LEDの照明光源の実用化は、1998年に経産省の「21世紀のあかり(通称:高効率電光変換化合物半導体開発)」のテーマで国家プロジェクトとしてとりあげられた。
 
 この計画は2003年には白色LEDの効率60 1m/w以上を達成し、2010年には120 1m/w の達成を目ざしている。これによってけい光灯の効率を上回る照明器が作製されるとみられている。
 
 白色LEDは家庭や一般照明分野に普及するばかりでなく、鉄道や道路の信号機としての市場が有望とされている。また、太陽光発電との組み合わせで、電力のない離れ小島などでの利用も期待されている。
 
 白色LEDの研究開発は新エネルギー・産業技術総合機構(NEDO)の委託をうけて金属系材料開発センター(JRCM)と13社、5大学、日本電球工業会の協力・連携のもとで進行している。
 
 民生用のエネルギーの約20%を占める照明の省エネルギーはいま、国の大きな課題。白色LEDが市場普及率13%になると原油換算で83万キロリットルが節約されるという。わが国は2010年までに原油換算で5,600万キロリットル(炭素換算で6,000万トン)相当の省エネが、地球温暖化防止のうえで必要とされているが、白色LED普及の役割は大きい。