2003年04月09日
住友化学、MMA事業大幅拡大へ
シンガポール・日本で相次ぎ新増設
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:住友化学

住友化学は9日、戦略事業の一つであるMMA事業を拡大するため、シンガポール工場の増強工事に着手したと発表した。モノマーは年産8万トン設備を新設、ポリマーは既存プラントを1万5,000トン増強して、年産5万トンに引き上げる。商業運転開始はポリマーが2004年央、MMAモノマーは2005年央の予定。

 MMAモノマーの需要は、アジア地域でも透明ABS樹脂や人工大理石、さらには液晶などのIT関連分野に急増しており、年率5〜6%の高い伸びが見込まれている。一方、原料は安定的、効率的に確保することが難しく、新規プラントの建設には多額の投資が必要となる。このため、増設計画は限られ、需給逼迫状態はなお続くと見られている。

 同社は現在シンガポールに子会社、シンガポールメタアクリル(SMM)をもち、MMAモノマー(年産能力5万3000トン)及びポリマー(年産能力3万5,000トン)を一貫生産してアジア向けに事業展開している。原料面でグループ会社のPetrochemical Corporation of Singapore からパイプラインで安定的に入手できる強みがある。既存インフラの活用と、高性能新触媒の採用で、競争力の高いMMAモノマーの生産が可能。ポリマーも、比較的少規模の投資で済む。
 
 同社はMMA事業では、イソブチレンからMMAモノマーを生産する直酸法製造技術や、導光板用など光学用途グレードの生産に適したMMAポリマーを生産する連続バルク重合プロセス、さらに光学用厚板に適したシート押し出し製造技術など、独自の技術をもっている。
 
 住化グループのMMAモノマーの生産能力は、今回の増設で日本、韓国、シンガポールを合せて年産32万3,000トン。アジア最大規模のメーカーとしての地位がさらに確実なものとなる。MMAポリマーは、5月には日本でもデボトルネック増強により、年産3万トンから4万5,000トンに引き上げる。日本とシンガポールの両工場で、同じ製造技術によって、光学用高品質グレード製品を年産10万トン規模で供給できる体制となる。愛媛工場では11月に年産1万トン規模の導光板用MMAシートの増設工事が完成、伸長の著しいアジア市場の需要にこたえていくことにしている。

ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/030409sumitomo.pdf