2003年05月09日
フルカラー有機ELディスプレイに異変
ID Tech が駆動回路基板に低価のアモルファスシリコンTFT
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三洋電機、パイオニア

 有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイの開発をめぐって数多くの企業が競合しているが、パッシブマトリクスのモノ(白黒)カラーに次いで登場する見通しとなっているアクティブマトリクスのフルカラーディスプレイの実用化計画で、異変がおきている。
 
 これはアクティブ駆動回路基板に使う高価な低温ポリシリコンを、アモルファスシリコンTFT(薄膜トランジスタ)で代替できるという新技術がインターナショナル・ディスプレイ・テクノロジー(ID Tech)によって開発されたためで、先行しているコダック、三洋電機やパイオニアなどの投資計画に影響を与えるものと推測されている。

 アクティブマトリクスのフルカラーディスプレイの投資額はこれまで一系列100億円を上回ると計算されているだけに、工場建設に着手したメーカーや検討中のメーカーの今後の動きが注目される。
 
 ID Tech は日本IBMと台湾のチメイ・オプトエレクトロニクス(CMO)の合弁会社で、このほどID Tech が新技術の高画質20インチフルカラーディスプレイのプロトタイプを発表した。有機ELは将来の有望なディスプレイ技術として期待されているが、まだカーステレオや携帯電話など5〜6インチの小型かつ低解像度のディスプレイにとどまっている。
 
 これは有機層のアクティブ駆動回路基板に高価なポリシリコンTFTを必要としているため。アモルファスシリコンTFTは規則的な配列を持たない結晶構造のシリコンTFTで、これまで液晶ディスプレイ(LCD)に広く使われてきた。
 
 ID Tech では先進的なアモルファスシリコン技術と画期的な回路設計をもとに有機発光材料と層構造を開発したことによって、20インチ型大画面への大型化とすぐれた色再現性、視野角を実現、消費電力を半減することに成功したとしている。(WXGA=解像度1,280×768対応で輝度300cd/〓、25Wの消費電力)

 なお、CMOは台湾のABS樹脂メーカー・チメイ・コーポレーションの子会社、1998年8月に設立、大型TFT-LCDパネルが主力製品。