2003年09月29日
環境省、揮発性有機化合物の排出の抑制へ
諮問機関を新設して具体策の検討開始を求める
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:環境省、日本化学工業協会、日本自動車工業会

 環境省環境管理局は29日、同局長の私的諮問機関として「揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会」を設置、VOCの排出抑制対策の技術論と制度論について可及的速やかに討議し結論をまとめるよう要請した。
 これは、VOCが光化学オキシダントおよび浮遊粒子状物質(SPM)の2次生成粒子の原因物質であるにもかかわらず固定発生源からの排出が規制されていないのはおかしいとの判断から、専門家グループに排出抑制のための具体策の検討を委ねていくことにしたもの。これを受けて同検討会では、同日の第1回会合を皮切りに合計4回の会合を開いて討議を重ね、今年11月中旬に答申案をまとめることにしている。
 
 今回設置された「揮発性有機化合物(VOC)排出抑制検討会」は、環境工学、分析化学等に関する学識者と地方自治体の関連部門の幹部の合計11人で構成され、坂本和彦・埼玉大学大学院理工学研究科教授が座長に選任された。
 同日の第1回会合では、VOCの排出の現状について環境省から詳細な説明を受けると同時に今後の対応のあり方について意見を交換した。その結果、「VOCがSMPや光オキシダントの発生に深く係わっていることや日本でかなりの量が排出されていることが明らかな以上、何らかの排出抑制が必要」との点で意見の一致を見た。ただし、委員の中からは「発生源が多岐にまたがり、また発生物質も多種多様で管理が容易でないだけに、国が全国一律の基準を作って規制することが最良の方法なのかどうかよく検討する必要がある」、「関係業界の自主管理も尊重しながら抑制していく必要がある」など、慎重な検討の必要性を強調する発言が相次いだ。
 次回は10月21日に開催の予定。当日は、日本化学工業協会、石油連盟、日本自動車工業会など合計10団体を対象にヒアリングも実施することにしている。