2003年10月21日
出光テクノファイン「温度調節ポリマー」を開発、販売
カネボウ合繊、世界初の高機能ウエア商品化
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:出光興産、出光テクノファイン、カネボウ

出光テクノファイン(四位 敏章社長)は、天然シルクを主原料とした蛋白質パウダー(プロテインパウダー)を各種プラスチックスに配合し、自動車座席シート用レザー(プロテインレザー)・衣料用テキスタイル(プロテインTEX)・プラスチック用塗料・インキ(インキジェット受理性インキ)・繊維処理剤などとして市場開拓してきたが、このほど温度をコントロールするポリマーの開発に成功し、販売を開始した。

 出光興産中央研究所のポリマー重合技術をベースに開発したもので、体温近傍温度での相転移に伴い、昇温時に吸熱、降温時に発熱を繰り返す機能をもっている。
 
 従来の温度調節材は、相転移物質の溶出を防ぐため、マイクロカプセルに相転移物質を封じ込めていたが、「マイクロカプセルの粒子径が大きい」、「せん断応力に弱い」等の理由から用途に制限があった。同社が新開発したポリマーは、相転移物質をポリマー化することでこれらの課題を解消し、多様な用途への展開が可能となった。ポリマーの相転移温度は任意に設定でき、このため用途に応じた分子設計が可能だ。

 同社は、既にこのポリマーを用い小松精練と共同で衣料用温度調節コーティング布帛「エアテクノ」を販売しているが、さらに、このほどカネボウ合繊と共同で、気温の急激な変化に対応できる、世界初のハイブリッド型ナイロン素材「セルモサポート」を開発した。

 この「セルモサポート」は、カネボウ合繊独自の練り込み技術と、ハイブリッド紡糸技術により、ナイロン糸の芯部に温度調節機能をもつ特殊ポリマーを配した芯鞘二層構造糸で、カネボウ合繊ではインナー、スポーツ、カジュアルウエア、生活関連資材等の用途に2004年秋冬向けから販売を開始する。